②本の装丁
今までご紹介した夢二の装丁本は、モチーフがほとんど人物、動物、植物、風景などでした。今日はそれ以外のモチーフの装丁を探してみました。
下図は北川千代子著「楽園の外」(大正15年8月5日発行、宝文館)の函です。図のように色彩の縞で構成された函は本の内容を読者に想像させるのに十分な効果をもっています。函の表は白、赤、黄、紫、緑の5色の縦じまで、裏も表と同じ5色で配置をかえた縦じまが非常に美しく描かれたています。表の左上に題名が、裏の右下に著者名が配置されていてそのバランスもなかなかです。
函
この本の装丁には、函、表紙、扉、口絵、挿絵が4枚と装丁が描かれています。表紙のユリの花は楽園の象徴なのでしょうか。扉絵のゲートは、その奥は楽園で、門を開いて出ると楽園の外なのでしょう。
表紙
扉
口絵に描かれた少女は、荷物を持っているので停留所か待合室で汽車を待っているところだと思われます。これから「楽園の外」に出て行く少女を描いているように思います。
口絵
本文は何本かの短編集です。そこにそれぞれの物語にあった挿絵が描かれています。
「たはむれ」
「名を護る」
「はま」
「おもかげ」