(二)出版
竹久夢二の出版関係については夢二の仕事の中で非常に幅広い部分を占めています。ですから絵画の次に取り上げてみました。
まずその分野はどこまで広がっていたかと言いますと、
①雑誌
②本の装丁(自著と他人の本の装丁)
③楽譜
④絵はがき
などになります。
大正時代はある意味で印刷技術の目覚しい発展を遂げた時代であり、また印刷による文化の飛躍的な発展が見られた時代でもあります。次々と新しい雑誌が創刊され、女性の社会進出目立ち、それらが受け入れられていきました。
そうした時代の要請を夢二は見事に受け止めた数少ない芸術家の一人でした。時代の申し子のように夢二はこの分野で多くの仕事を残しています。文字通り夢二は「時代の寵児」だったのです。その携わった仕事の量から見てもそのことがよくわかります。
①雑誌
雑誌(表紙・挿絵・カット・随筆など)は1905年の「中学世界」から始まって、1934年の「若草」まで29年間でおよそ1500冊もの膨大な数にのぼります。その対象は「子供之友」など子ども向け、「小学少年」「小学少女」など少年少女向け、「令女界」など女性向け、「婦人グラフ」など生活雑誌、「中央文学」など大人向けの読み物など214種類にもなります。
「中学世界」筒井筒 1905年
「若草」1934年
明日は雑誌の中から子供向けのものをご紹介します。
館長 木暮 享