あっという間に4ヶ月が経過しましたことお許し下さい。
この間、10月1日から12月10日まで行っております岡山夢二郷土美術館協力の特別企画展開催の準備のために忙殺されましたので、こんなことになってしまいました。でも、この企画展開催後、まだ半月しか経っておりませんが、たくさんの方にご覧頂き好評を博しております。
今日は、夢二の人気についてお話を致します。
第1に非常に優れた芸術家であったということです。芸術家にとって大切な能力をバランス良く備えていたということです。それは具体的に言うと3つあるのですが、その1つは描写力(筆が立つ)、2つめは構成力(構図と配色についての能力)、3つめは構想力(その作品を通して人々に何を訴えたえたいか考えること)以上の3つの能力を人並み以上に兼ね備えていた芸術家であったということが考えられます。そういうものを持ち合わせていない芸術家は人気が長続きしないと思います。
第2にどんなに能力があっても人柄が悪ければ、考え方が悪ければその人の人気は出ないと思います。夢二の人柄は人と競うことを嫌い、自分にしか出来ないものを追い求めた稀な芸術家であったからだと思います。
第3にお金に対して淡白であったということだと思います。そのことについてこんなエピソードがあるのです。
それは代表作「黒船屋」が完成したときに依頼主が「お代はいくらお払いしたらいいですか。」とたずねると「いくらでもいいよ。」と答えました。依頼主はありったけのお金100円を用意して、それを提示すると「そんなにいらないよ。」といい、依頼主は困って「ではおいくらお払いしたらいいんでしょう。」と重ねて聞くと、「その半分でいいよ。」と答えました。依頼主は「それでは悪いから」と言って夢二の申し出にいくらか上乗せして支払いました。
今では考えられないようなお話ですね。お金を追い求めて制作された作品でない、その清々しさが作品にはちゃんと影響するんだと思いますね。これに似たお話が江戸時代の画家池大雅という人にもあったと聞いています。
そして第4に非常に自分の才能に溺れず、真摯にそれを一生懸命磨き上げたことにあったと思います。生涯師を持たず、研究熱心でいろんなことを学び、亡くなった時にはお茶箱に5箱もスケッチ帳が残っていました。
その1点を考えただけでもいかに熱心に物を描き、勉強したか伺い知ることが出来ます。
今日は夢二の人気の秘密についてお話をしてみましたが、まだまだ他にも人気の秘密があると思いまが、この辺で留めておきます。
次回はその夢二の作品をどういう風に皆様にご覧頂くか、そのためにどういう思いで建物を建てたかお話をしたいと思います。