79日の試合を終えて、1日。

カラダのダメージをあちこちに感じつつ、またやはりプロレスでしか味わえないような感覚に満ちていた。



今回はさらに観てくださった人たちの熱い感想をいただき、またそれが追い出汁の如く、熱くカラダに染み渡ってくる。感想をいただき、生かされていると感じました。


戦前のYouTubeで展開した"対戦相手を撮影してインタビューをする"というアプローチや、当日の試合も含めてそれは一種の今成ワールド的なものだったかもしれませんが、試合が終わってエル・リンダマン選手が用意したアサヒスーパードライを飲んだときの、またカラダが染み渡る感覚と、その麦の美味さが格別だった感覚を思い出すと兎にも角にもエル・リンダマンの凄さが沁みてくる。マーベル作品によくあるエンドロール後にもう一度サービスフッテージが出てくる感じを向こうからヤラれたという感じです。そういうの好きです


とは言え、たった一つの対戦カードにこれだけ前後に様々な文脈を接続出来たことは満足感があります。それはプロレスラーとして身体をぶつけあうこともそうだけど、大きなビジョンに映像出力もして一種のプロパガンダの装置を作ることもまた私の願望であり、狙いであるからです。それが出来る大きなハコで挑戦出来たのも嬉しかった。


10年前のガンプロ旗揚げ戦でも、実は試合前に自分のVTRを上映して、自分で試合をしていました。そうしたモデルは既に自分で出来ていたんですが、試合も映像もしょっぱいものでしたから。何より制作スケジュールやコンディションを整えるということの全体的なスケジューリング、管理が当時はまるで出来ていなかったと思います。


しかしながらそうしたことをコツコツと積み重ねて10年。映像を作るワークフローも、自分の身体、精神を研ぎ澄ませたトレーニングや練習、ボディケアも含めた管理も今回はベストな状態で臨めたような気がします。


そうした自分の中では非常に10年という大きなディケイドの塊を感じました。それは日々の積み重ねとしか言いようがない。そういう意味では集大成と言っても差し支えはないですし、昨年のレッスルセキガハラ1との二部作にもなったのだと感じました。


昨年は映像班だった盟友の福田さんにVTRを作ってもらいました。自分が対戦相手の大家健に突きつけているエネルギーは自分の中ではどう観ても客観視することは出来ず、ここは福田さんに作ってもらおうと。


福田さんは私の大学卒業制作の作品を観て、DDT映像班に入ろうと思ってくださったそうで。作品がまた別の作品や人に影響として連鎖を与えるのだなと思いましたし、同い年の福田さんに自分が立つ大舞台にビデオを通じて背中を押してもらえたら最高だなと感じていました。事実、そうなりましたから。


今年は自分で自分のビデオを作り、VJをする。なんでも自分でやってしまう。対戦相手曰く"今成ワールド"的なものの極地で勝負でした。


そしてエル・リンダマン選手がそんなこちらの土俵に入り込んでくるその器量と懐の深さにまず参りました。そのような選手がこれまでいなかったですし、流派の違う他団体の選手から今成劇場的なものにライドオンしようというその心意気に当然ヤラれるわけですよね。私はヤラれましたよ。だから今回だったのですよね。今回のタイミングがベストオブベストだった。


そうしたタイミング一つ一つが繊細な糸のように絡めあい一回性の強い試合へと結実したような気が致しました。あれだけ暴れても、人間橋でブリッジしてピンフォールを取れるリンダマン選手の強さは今、マット界の最前線にいるその人であることの何よりの証明かと思います。


興行全体を見渡せば改善すべきことも沢山あるのでしょうが、私の中ではなるべく沢山の選手のドキュメンタリーな感情をレンズ越しに見つめてみたいと、自分の出来る特性や映像面で出来る限りのアプローチをしましたので、そこもまた労いたい気持ちではあります。やれる精一杯はやりました。


自分の次はどうなるなか、どうなっていくのか。全くわからない。ただそれだけ今回自分のサムシングを賭けられたこと、一回性の強いドキュメンタリーになったこと。自分の存在証明を刻みに行ったことを2023年の夏にやれたことにまずは労いたいなと思い、また次に走りだしたいと思います。


ご観戦、ご視聴いただいた方。

また当ブログをご拝読いただき、ありがとうございます。


引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。


今成