打ち上げの帰りに観に行った。酒飲んで少し眠かったけど、忙しいから、映画が観たいと思った時に見ておかないと、なかなか時間が作れなさそうで。



素晴らしい作品だった。

アフガンの難民、ゲイであることのLGBT的な側面といった社会性のあるテーマはもちろんのことだが、被写体の人のプライバシーを守るために、アニメーションで記憶を補完して行く手法によって、誰しもが共感しうる普遍性のある作品になっているような気がした。


私は特に主人公のトラウマ的な描写とその語り、記憶の部分におそらく私にもそうした体験というのはあるのだと感じた。


ここで描かれている難民であることの壮絶さ、自己を偽り偽造パスポートで入国を試みるような壮絶な体験ほどではないにせよ、そうした一種のトラウマのような感覚というものがアニメーションで映像化されることで、人間の内面、記憶に抱えているものは共感覚出来るのではないかというのを感じたからだ。


私にもそうした呼び起こしたくないトラウマのような体験がある。笑い話に出来ているものもあるが、やはり当時感じたショックを抱えて生きているものである。


本作の終幕は人生が開かれていかんとする瞬間をアニメーションで描いている。挿入される実写映像が実際にそうした人生を歩んでいるということを確かに感じさせてくれる。


植え付けられたトラウマや、植え付けられた壮絶な体験。そうしたものを受け入れて、人生を動かそうとするこの作品のメッセージにとても突き動かされるものを感じた。


私もこうした壮絶な体験ではないにせよ、個人で抱えている感覚、トラウマ、体験をそのまま表現に反映させている部分があるため、他人事には思えず、こうしたドキュメンタリーを創ろうとする意義と姿勢に感嘆した。


久々のバルト9もよかった。シネスコの画面と大きなスクリーンで見ることによって、また映画"体験"が際立ったように思える。オススメしたい作品だ。