5月3日の後楽園ホール大会で、高岩竜一選手からピンフォール勝利をし、第2代スピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級王者になりました。
今はまだ実感が湧いてこないのですが、受け取ったベルトの重さ、質量的なもの以上に、その玉座の重さ、高岩さんの重さを感じました。
このタイトルマッチに挑むにあたって、自分の仕事の繁忙期とモロに重なってしまって不安でした。忙しなさに対して、ボーっとしている時間は一切なくて。とにかく編集に練習にと手を動かし続けていました。
今回は無事に前日にはVTRを完成させられていたりと非常にいいコンディションを作りこむことが出来ていました。DDTもガンプロも。
この3年くらいでギリギリに納品してしまうという体質改善に成功したことが、僕に練習時間の確保やコンディション作りの大切さを感じさせ、与えてくれたような気がしています。逆に言えばそういう体質改善こそが僕がチャンピオンになるために必要な第一歩だっだのだと今改めて思いました。
王者の高岩さんにリスペクトを持って挑めました。前回の前哨戦や記者会見でハイボールを持ち込んだりと、色々仕掛けたのだけど、結局そういうことは付け焼き刃的なアレコレにしかならなくて。
だから4.10ゼロワン両国で高岩さんが新日プロのテーマで入ってきたときにハッとなった。ライオンマークの人なんだって。だから凄くそこから自分のリスペクトの気持ちや昂りに素直になれて、気持ちを作っていけました。
また5.1DDTの上野選手、遠藤選手のVTR作成にあたって、二人の違うスタンス、それぞれの主張を撮影、編集しながらも、その2日後には自分もタイトル戦なんだよな…とお二人の姿に僕も他人事とは思えず、俺も頑張らなきゃの気持ちになれました。だから結果的にだけど、撮ったり、編集したりっていうのはアドレナリンが出る行為だし、自分に跳ね返ってくることなんだよなあ、と身をもって感じました。上野さんは団体の未来を背負うという覚悟を、遠藤さんからは王者として挑戦者に突きつけなくてはいけないサムシングを、とても感じました。昔は煽りを撮っていても、自分にとって関係のない話ではあったけど、もう僕も自分事にしか思えない。ホントにプロレスのタイトルマッチに挑む王者も挑戦者もすごいよ…(これ、逆説的にそれを撮り続けている今成も大したもんだわ、、ここは自分で自分を褒めよう。)
試合はボコボコになることは覚悟の上、という心持ちでした。この一ヵ月色々と新しい技とか、手数を増やすための練習もしたのだけど、上手くいかなかったんですよね。"出来ないこと"に向き合ったからいつものことを磨く、信じるというスタンスになっていました。それだけではダメなのは分かってはいますが、突破口はそれしかありませんでした。
先日、疲れすぎていたのか大会二週間前にトレーニング用具一式を電車内に紛失してしまって。いつも使っている道具や用具がないという不安感が凄まじかった。そういう意味ではルーティンとか、"いつもそこにある"ことの安心感とかを感じていました。あそこで気持ちが崩れたのを何とか修正してこれてよかった。
VTRは昨年にある映像コンペに出して落選した映像を追撮、再編集したもの。コロナで少し暇な時に作っていました。山田孝之氏が絡んでいるミラーズフィルムというやつです。山田氏が直接審査をしているのかは分かりませんが、山田氏が「こんなマスターベーションみたいな映像ダメだろ、エッ!」となっていたかもしれないからお蔵入りになっていましたが、この度、再編成することで成仏することができました。
トレーニングモンタージュはロッキー4で使われた名曲ですが、トレーニングに編集にと、僕の信条となるものが詰まっていると感じて使用しました。
モンタージュ理論というのは僕が多摩美大に入り、初期の映像の授業で学びました。例のごとく『戦艦ポチョムキン』の有名な階段のシーンを何度も見させられて、モンタージュとはこういうことだよというのを学びました。
だからロッキー4でロッキーとドラゴの一連のトレーニングモンタージュのシーンというのはやっぱり今成夢人のことなわけですよ。相手を倒すためにトレーニングをしているところを、見事な楽曲を下地にしてモンタージュ編集していく。これはやっぱりスタローンの勝ちパターンなんですよ。
やっぱりスタローン。やっぱりスタローンなのだ。シュワ、スタローン。うん。
だから作りながら気持ちを作っていける、作りながら気持ちを昂らせる。そういう自分の特権をフルに使いました。
アジャさんがセコンドに来てくださったり、ガンプロの選手が声をかけてくれたり。そしてファンの方々の応援、拍手が本当に嬉しかった。
そして自分も、高岩さんもどこかで大谷晋二郎さんのことを想い、闘っていたと思います。
7月10日はレッスルセキガハラ、大田区総合体育館大会。天下分け目の大勝負。
この日まで、また物語を創るし、何より王者として物語を創ります。世界チャンピオンなのだから、その名に恥じないよう、けど守りに入るのではなく、大胆に、ここでしか見られない、何か駆り立てられるようなプロレスをしていけたらと思っています。
実感が湧くのはもう少ししたらやってくるのでしょう。この余韻とダメージとアドレナリンのまま、後書き書かせていただきました。
この度は応援してくださった皆様、支えてくださったレスラー、関係者の皆様、本当にありがとうございました。
どうぞ引き続きよろしくお願いします。
第2代スピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級王者 今成夢人