金曜日、大分に行き佐藤君の自主興行に出場した。

緊急事態宣言に入り、予定されていた試合が二つ吹き飛んでしまったので、1ヶ月ぶりの試合となった。



3年前とかはガンプロ興行が月一回しかないので、ずっとこのサイクルだったのに、試合がない期間が空いてしまうとなかなかモヤモヤするようになった。そういう体質になったということはレスラーとしてのサムシングが比重がより増したことを意味しているように思える。自分以外の誰か、自分以外のレスラーのパフォーマンスを見ても、「俺」が対抗心を剥き出しにしてくるような感じがある。イメージで言うと腹の中にあるエイリアンが体外からブスっと顔を出してくるあのようなイメージ。私はこのシーンを5歳の時に、親父に見せられてトラウマになっている。以降『エイリアン』を鑑賞することが出来ない。


久々の移動がなんだか心地よかった。飛行機からバスを乗り継ぐ。物理的に移動をすることの大事さを思い知らされる。そうすることでリフレッシュするような。大谷さん、オッキーさんらZERO1の人たちとも久々に会えて嬉しかった。ZERO1は僕にとってなくてはならない人間力マシマシのパワースポットなのである。



1ヶ月ぶりの試合は試合勘の部分で不安があったが、いざ始まってしまうとそんなものは吹き飛んでしまったよね。


日頃のトレーニングと道場での練習の成果が出まくっていたよ。

スタミナ面での不安もなければ、間や動き、リングの空間の感覚も道場で動いているので、結果的に全く心配いらなかった。これはやはり日頃の反復によって自分自身がでーんと構えていられるようになったことの現れだろう。特に足腰の強さは試合に強く反映されるように思う。スクワットはキングオブトレーニングとも言われるが、間違いなく全人類が日課として取り組んだほうがいいように思う。スクワットの成果が試合で感じられたのだ。


対戦相手の一選手も怪奇派レスラーであり、独特の間合いを持つ選手だったが、そんな選手との空間を楽しみつつ、私の熱量でもって彼の素顔を引き出したいとの思いが伝わったような、そんな試合だった。彼はこれまでに幾度も挫折体験をしてきたようだが、僕はそういう人間に対して他人事には思えないような感情が渦巻いてしまう。そんな彼とプロレスで会話をしたような、こればかりはレスラーの特権とも言うべきレスリングでの会話を交わせたのではないかと個人的には感じた。これが僕の一方的な感情だった可能性もあるが、それでもいい。僕がこの感情を抱けたことに清々しさを感じささせてくれたから。また一選手とどこかで会いたい。そんな風に思った。


佐藤くんもまだ二十代半ばなのに、地元で自主興行をうつバイタリティに驚かされる。彼は本当にナイスガイだ。彼の人柄がもっと伝わって欲しいと思う。








翌日、東京へ戻った。羽田空港から王子までモノレールを乗り継いで、京浜東北線に乗った。あっという間に東京の景色になった。もう少し大分にいたかった。それが心残りだ。


6時間ほど睡眠を確保出来たし、飛行機でも寝れていたので、体調がよかった。

どうも5時間以下はすこぶる体調に異変をきたし、6時間だとカラダが軽く感じられる、そういう体質なんだということが段々とわかってきたのだ。


王子に付いて、回転寿司を食べた。10皿くらいだろうか。きちんとエネルギーを摂取した。私はやはりイカが好きらしい。一皿目にほぼ確実にゲソを頼む。イカゲソは安くて、歯応えがあって美味しいと思う。もっと評価されて欲しい食べ物だと思う。


この日は1ヶ月ぶりのガンプロ興行だったが、やはりガンプロメンバーのバイブスが良かった。これは親戚とも家族とも友達とも違う何か。そんな安心感を与えてくれる。大事な居場所が私の人生にあって良かった。


試合は調子が良かった。やはり睡眠と寿司が効いた。試合直前にはエクレアを食べた。糖が頭に行ったせいか冴えていた。石井さんと入江さんがやっぱりスペシャルだった。彼らは凄すぎる。二人のタッグチームは世界に誇れるチームだろう。いつも彼らにボコボコにされるが、それは同時に私自身が試されていることでもあるはずだ。石井&入江の猛攻を受けても怪我をせずに帰れることが僕にとっての誇りだ。次は実力で彼らに勝てるように精進したい。


試合が終わって岩崎君とエニタイムに行った。大体、ガンプロ興行前、もしくは後に会場近くのエニタイムで岩崎君と会うのが通例になってきた。彼は多くの選択肢がある中で、ガンプロを選択してくれた若者だ。多くの選択肢がある中で、大家&今成の存在が大きかったとかつて言ってくれたことがある。彼がプロレスラーに求めたくなる何かが我々にあったからなのだろうか、それはわからないが。決して誰かの見本にならないような大家、今成という二人の人間を見出した岩崎君の視座が嬉しいなと思う。彼が「今成はオンリーワンのレスラーだ」と前回の板橋で言ってくれた。私は彼に応えたいと思うし、彼がこの選択で良かったと思えるように、この団体をもっと強度のある団体にしたいと思っている。





どっぷりプロレスラーでいられた二日間。サムシングが沢山あった。

日頃の修練と、人間の優しさと、些細な言葉の嬉しさと、思わず叫びたくなる熱量のある空間に触れられた二日間でございました。