アカデミー賞作品賞。


ロードムービーとして、実はショートエピソードの積み重ねのような構成が実に効果的に機能しているのではないだろうか。どのエピソードも後に絶妙に伏線として回収される丁寧さもたまらない


各地でなんらかの形で黒人差別を受けるのだけど、その一つ一つがユーモアでアンサーしていく様に胸が熱くなる。僕にはユーモアで行きる人間は希望に思える。旅をする二人には希望があるように思えた。


ヴィゴ・モーテンセンの佇まいはやはり暴力がどこかしら匂うのだが、その暴力を抑えよう、もしくは抑えさせられる様にグッとくる。粗野なイタリア系用心棒という役柄に絶妙なキャスティングではなかろうか。


道中でケンタッキーを食べるシーケンス。僕は微笑ましさと、ブロマンスとしてたまらないやりとりが詰まっている実に可愛らしいシーケンスだと思えた。


ケンタッキーなど食べたことがない男が、 食ってみろと勧める。いいから、食ってみろよ、話はそれからだ的な流れから、食べてみるとまんざらでもない顔をするあのシーン。

一般大衆の食べ物一つで、上流階級の人間と心の繋がりを作る。このシーンに集約される暖かさがたまらないよ。


監督はあのメリーに首ったけの監督だというから驚きだ。お下劣なギャグも織り込んでいたコメディ監督が、実に洒落てトンチの効いたギャグを小気味好く配置してアカデミー賞作品賞をとるんだから。僕みたいな人間からしたら一番好きな夢物語さ。


いちいちグッとくるんで、涙がちょちょぎれまくったけど、作品、キャストの愛くるしさが、そのまま作品が愛されてる感じに直結してるのではないでしょうか。この愛おしさが映画のヒットと直結している。可愛げのある作品というのは今の時代をサバイブしてくためのキーワードではないかと思いました