今年の秋、石井慧介がガンバレ☆プロレスへのレンタル移籍を表明した。

インディJr王者として、ガンプロに定期参戦。石井選手が”らしさ”を爆発させた試合が続いていた。ガンプロで石井選手の持ち味が十二分に発揮された瞬間を目撃したファンも少なくないだろう。


レンタル移籍ということは、いつかは元の鞘に戻る。ストリーミングサービスが普及し、レンタルビデオ文化が衰退していく昨今に、”レンタル”って言葉を久しぶりに聞いた気がする。でも石井選手のレンタル移籍ほど前向きな”レンタル”を最近はココ最近では聞いたことがない。


石井さんがレンタル移籍したことで、早速そのレンタルっぷりを楽しんでいる一人が僕だ。石井&今成のタッグでDDTの総選挙シリーズに2回出場した。僕と石井さんのタッグは石井さんという指令塔になる人間がいることで、僕がより”今成らしさ”を発揮出来るレスリングの間を作ってくれたように思う。石井さんがガンプロに加わることで、持たされる相乗効果は選手一人一人の意識や、ファイトスタイル、なにより”自分らしさ”をより自覚させてくれるような感覚を与えてくれているような気がしている。


33歳というプロレスラーとしては最も油の乗り切っている時期に、ガンプロにレンタル移籍をした石井選手。そこで迎える最初のビッグマッチで石井選手は秋山準選手とシングルマッチで対戦する。


石井選手のついた二つ名は”ひとり四天王プロレス”。90年代に全日本プロレスマッチで一時代を築いた四天王プロレス。三冠ヘビー級選手権、世界タッグ選手権などを中心としたタイトルマッチなどで展開された、その激しい攻防は当時10代だった石井少年に激しい影響を与えた。試合時間や、日付などをまるで歴史教科書の年表のように、暗記し、脳に叩き込んだ。その膨大なデータベースを武器に、石井慧介は次第に自分のファイトスタイルを確立していったのだ。


全日プロの四天王時代から五強時代と呼ばれる時代にシフトした時期があった。四天王プロレスを展開する全日本四天王に加わったのが秋山準選手であった。


その四天王プロレスのロマンを追い求めていた石井慧介にとって、秋山準選手と触れることは自分の青春のすべてをぶつけることを意味している。

そして、それがただ「青春をぶつけるだけ」では意味がないことも今の石井さんは自分で分かっている気がする

石井さんは勝つためにガンプロというホームリングに秋山選手を招き入れたのだではないだろうか。


とにかく石井慧介と目が合えば、僕はプロレス技をかけられそうになる。駅で待ち合わせして会っても、会場で会っても、いつだって不意にプロレス技をかけようとする。あまりに危険。それは危険な発作だ。彼の脳内にある年表化されたプロレスの歴史教科書が、僕を観て「君も僕と同じ四天王プロレスを観ていた同世代の人間だよね?」という気持ちが、実験台にしようとするスイッチが途端にはいるのだ。だが、それがいい。そんな石井慧介が好きだ。だから、俺たちが3倍で録画してVHSテープを擦り切れるように観てきた「全日本プロレス中継」を観てきた、俺たちの想いを全部ぶつけてほしい。


12月16日 ガンバレ☆プロレス後楽園ホール大会

石井慧介 vs 秋山準

待ったなし!