明日はDDT総選挙シリーズ最終戦の後楽園ホール大会。

いざ、DDT総選挙が9月から始まってみると、とにかく忙しくてたまらんかった。
映像班もとにかく人手が足りないという中、確実に人生の踏ん張りどころの一つを迎えているんじゃないかと思えるほどキツかった。

10.21両国大会では自分にとって過去最大級の制作量である約30本ほどのVTRを作りました。
なんでそれだけの分量を作る羽目になるのか、、というのは単純に人手不足で、人がいなくなったらなったで、残った人間がなんとかしなきゃいけない。DDTはshow must go onだから。そういう意味では使命感とか、「俺がなんとかしなきゃ」みたいな気持ちは一番あったように思えます。5月から入ってくれた新人の人もよく付いてきて頑張ってくれたと思います。こういうのはもう創造力とかでもなくて、体力。OBのゲイ福さんも毎日自分の仕事が終わって18:30からDDT事務所で撮影、編集をずっとやっていました。映像班のメンツは執念と根性がすごい。僕はここで約8年働いていることを誇りに思います。

仕事の分量だけで見れば、かなり理不尽な量なんだけども、意外にもデーンと構えている自分もいて。不思議と来るなら来いという感じだった。これは経験がそうさせたのかもしれません。

DDT総選挙シリーズに参戦してみて、このシリーズがなければ、闘えなかったであろう対戦相手やシチュエーションが沢山あった。特に本多さん、ダンゴさん、藤岡さんとの対戦は自分がDDTに合流することになったことを築いてきた人たちだったからとにかく感慨深かった。エモい対戦カードをDDTから沢山提供してもらったと思います。

いざ始まってみればDDTで試合をするということに不思議と特別感はなく、そりゃあいつも巡業に帯同しているからというのもあるのだろうけど、僕が試合をすることに他のみんなもこれと言って大きな違和感を感じてはいないような印象を受けた。同時に試合をすることで、DDTのみなさんの凄さにも感じることもあり、皆さんに対して尊敬の念がまた深まったように思えます。

そういう意味で試合数も多かった総選挙シリーズの2ヶ月間は実に人間としてもレスラーとしても、ディレクターとしてもなんとか風邪とかを引かずに、コンディションを整えながら、発狂したり、歌ったり、踊ったり、最後まで走れたのかしらという実感がとてもあります。

約8年、必死にDDT映像班で生きました。
DDT映像班はそもそもプロレスラーを育成する機関ではありません。
でもどこかでプロレスラーのような精神がなければ、DDT映像班を続けることは出来ません。
映像班が私をレスラーにしたし、私の精神もDDT映像班が基盤を作ってくれたとも言えます。
商品にされる予定ではなかった私が、いつしかはみ出していってDDTのリングに上がっている。

そういった意味では私はDDTにおける一種のスピンオフではないかと自分で思いこんでいます。「ドラクエ4」がなければ「トルネコの大冒険」が生まれていないでしょう。私という物語は一種の”DDTプロレスリング外伝”とも言えなくもないと思います。

違う言い方をすれば私はDDTのまかない料理みたいなもんかもしれません。普段は映像班で働いているけど、たまにまかない試合をする。
でもオムライスとかつけ麺も、もともと客前で出す商品ではなかったまなかい飯の一種だったのが、今や大人気のメニューになっている。私がオムライスとか、つけ麺になれるかどうか。つまるところそういった”商品”になるかどうかが、今回の総選挙ではジャッジされるのかもしれない。

とにかく私が選挙シリーズで感じた訴えたいことは、愚直に必死に働いてりゃ、なんとかなるかもしれないし、道は拓けるかもしれないよ〜という、身も蓋もない言葉です。

先日読んだトレーニングマガジン10月号で「ドウェイン・ジョンソンが贈る、人生を強く生き抜くための16の言葉」が身も蓋もない言葉たちばかりでとても共感したんです。

「簡単なことだ。つべこべ言わずにやる。それだけだ」
「成功のカギは何かといえば、カギなどないということだ」

こんなこと言っちゃ夢もクソもないと思うけど、過剰に煽り立てるどこか気持ち悪い夢より、よっぽど僕はリアリティがあって、夢があると思いました。ザ・ロックがそう言ってるんだから、もうウダウダ考えてもしょうがなくて、やるしかないんすよ。実際そんな感じで今回の10.21両国を乗り切りましたから。夢を積み上げるのも愚直なdoだし、それを乗り越えるのも愚直なdoです。やんないと、叶わないし、闘えない。

もし、あなたが自分の物語を生きれていないと感じるならば、愚直にやれば、それが外伝になる可能性もあってこと。
誰かの、会社の、グループの、集団のスピンオフになれる可能性があるかもしれない。でも気持ちが折れたらかなわない。


話は変わって先日、甲田さんが「なんだかんだ最後は人間力だと思います」というようなことをDDT UNIVERSEの放送で言っていました。
それは実に何気ない一言でもありましたが、僕もきっと自分のプロレス観やプロレス人生はそれに集約されていくのだろうと感じています。

今成夢人というキャラクターは、そうやって愚直に生きてきたことの人間の結晶体ですから。僕は今、これに賭けてみたいと思うんです。

もう既に投票を済ませた人もいるだろうし、まだな人もいるかもしれない。
今、総選挙シリーズの最後にこんなことを思った私に、DDT外伝を生きようとする私に、あと一日だけ是非力をください。

ご拝読ありがとうございました。