革命成就

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ガンバレ☆クライマックス二日間の日程が終了した。



昨年度から規模が縮小していると言われていたこのトーナメント。ところがどうだろう。
昨年度を超えるような、謎の濃厚さがあったのではないだろうか。単純に自分がトーナメントに勝ち進んでいったからそう感じるのだろうか。とはいえ昨年度観ていた景色よりも、どこか新鮮に感じられたのではないだろうか。

一回戦から順に振り返りたい。
まずは8月11日、成増アクトホールで真・木人ケンと対戦。

ここ数ヶ月でも他団体でトーナメント戦が行われていたけど、真・木人ケンのようなレスラーはいなかった。その存在感は明らかに特殊性を含めて際立っている。そしてその相手は選りに選って私であるということに、私自身が戸惑いがなかったわけではない。しかし7月の興行で、試合を壊されたという恨みは日々誇大化していき、木人に対する憎悪はやがて謎の研究心へと変わっていった。


ジャッキー・チェンの初期作として知られる「少林寺木人拳」も何かの参考になるかとこれを機に鑑賞。ジャッキーが木人路と呼ばれる木製人形が並べられる道を通れるか、通れないかが本作中盤の鍵となっている。ジャッキーはこの木人路を越えようと様々なクンフーの達人に教えを請い、己を鍛え、木人路攻略を目指す。しかし観ながらに驚愕してしまうのは木人路を攻略するジャッキーの身体能力の高さだ。飛んだり、はねたり、腕立てでケンケンをしながら木人の動きを避けていく。

結論から言うと、ジャッキーの動きがすごすぎて、あまり参考にならなかった。
本作で出てくる木人は数十体。私が相手するのはたった一体の木人だ。そもそも状況も異なるため、このジャッキーの闘い方を大した運動神経のない自分が取り入れるのは危険だと感じた。



そこで、戦法を変えることに。ここでノーDQマッチに注目した。接近戦となれば不利だが、遠隔戦ではどうだろうか。木人の歩行速度の遅さと、その独特のフォルムから彼は接近戦でしか戦えないだろうと考えた私は、木人に近づかなくてもいい方法を考えた。

そこで決戦数日前に映画「コマンドー」をDVDで観ることにしたのだ。それは8月上旬に発売されたてらさわホーク氏による「シュワルツェネッガー主義」という書物にえらく感動したからだ。



すごい肉体!すごい顔!すごい映画!暴力と愛嬌!一世を風靡した筋肉派映画スターアーノルド・シュワルツェネッガー!その波乱万丈、滅茶苦茶な人生を全力で追いかける!『コマンドー』『ターミネーター』だけじゃない!オーストリアからボディビルダーとして世界の頂点に立ち、ハリウッドで天下を取り、政治に進出、そこから転落。それでもどっこい生きている!誰もが魅了された最後の英雄、その人生のすべて!

との紹介文にもあるように凄まじい熱量。私の好きなサムシングがこの紹介文につまりきっているではないか

『コマンドー』ではシュワルツェネッガー演じるメイトリックス大佐がたった一人が1000人もの敵がいる要塞に単身殴り込みに行くのが本作のクライマックスだ。対人地雷を設置し、建物を派手に爆破。ここでシュワは凄まじい暴力を怒涛に見せていく。ロケットランチャー、マシンガン、、

「これだ」、と直感で感じた。




すぐにAmazonを中心にインターネットでエアガンを手当たり次第注文。おそらく6丁から7丁ほどを仕入れた。なんて便利な時代なんだ。



実際のところ遠隔のエアガン攻撃は木人に効果的だったのだろうか、撃ってみても手応えがわからなかった。次々に弾切れを起こして、とても焦った。




そこでそのままエアガンで物理的に殴った。木人が少しヒヨったのを確認した。うん、やっぱり鈍器なんだな。韓国映画での殺害シーンではダントツで鈍器でゴンっ!と頭部を殴るものが多い。ここではその知識が役になった。ここでのエアガンの攻撃での正解はただそれで殴るという実にシンプルなものだった。是非このあたりはナ・ホンジン監督による『チェイサー』を参考にして欲しい。



そしてそのままCO2放射器を噴射。瀕死状態の木人を目視したので、トドメの二階からのダイビングエルボードロップを投下し、勝つことが出来た。




木人はS飛田の創造物。埼玉プロレスを体現する一人のレスラー。僕はそんな木人と世界観の対決に挑み、これを制する事ができた。木人が相手だから、こちらはこういう闘いをしようとした。世界観対決に挑む事ができた。結果的に僕は木人によって、自分自身の知らぬ一面に気づけたのだ。試合後、不思議と木人に対する感謝の気持ちが溢れ出てきた。木人にそれが伝わったのか、木人は踊っていた。木人はきっと良いヤツだ。うん、そうに違いない。



帰宅後、アドレナリンが切れ、二階からのダイブでのダメージが一気にきたことに気づく。肘、膝、足首がまあ痛い。あと、ダイブする前に十字をきったが、その後に自然と拝んでいた。あぁ、私は日本人で、もう祈るしかないという状況になると手のシワとシワを合わせて、南無となるのだなと気付かされた。

二日目は板橋・グリーンホールに。なんと二日間板橋区での開催だったようだ。好きです板橋。
準決勝は翔太との一戦に。やっぱり私情が、気持ちが入っちゃう。彼とは語らう時間も、練習をする時間も多い。彼が所属になる以前からウマが合っていたんだから、所属になってからはまた特別な感情を持てる一人だった。須山浩継氏のモノマネ芸も彼とは一体何年やっているのだろう。プロレス会場で顔を合わせれば、すぐに須山氏のモノマネで会話をする。須山氏が言いそうなことを、あるあるを語り合うことで息が合ってしまう。そんな関係性だ。須山氏のコンビ芸だけで言えば我々のコンビ結成歴はそこそこ長いと言っても過言ではないだろう。



試合は常に翔太にペースを握られた。まったくスキがない男だ。彼のプロレスの研究心が随所に展開される。私が対応出来る部分は実に少なかった。さらに腰への攻撃、シャープシューターで腰回りのダメージが限界に。しかし、私はぽっちゃりへの膝蹴りに賭けていた。この技でしか彼からピンフォールを取れる予感はしなかった。叩き込みピンフォールを奪うことができた。手応えは十分にあった。3カウント後、またもや感謝の気持ちがダダ漏れる。一体なんなのだろう。スポーツマンシップの感情が翔太によって引き出された。プロレスっていうのは不思議だね。2戦続けてこんな気持ちが続くなんて。でも、まだもう一試合。これに勝たなきゃ優勝出来ない。ダメージと疲れ具合を感じ、呆然とした。



決勝戦は冨永真一郎との一戦になった。彼とはもう10年の付き合いになる。2018年の学生プロレスサミットで彼との交流が本格的にスタート。そして彼はSWS三冠王者になり、学生プロレスのトップ選手になっていった。そんな彼に惚れ込み、僕の卒業制作「ガクセイプロレスラー」では冨永真一郎を主人公に据えた。彼の言語感覚、ルックス、プロレスセンスがドキュメンタリー作品を作る上で重要になると考えたからだ。僕はその「ガクセイプロレスラー」という作品を作ることで、映像を作ることで飯を食う生活をする覚悟を与えるキッカケにもなり、また彼もプロのプロレス界に入るキッカケにもなった。作品を撮り、撮られる関係から、今の生活に至るまで”今成と冨永”はすべてに相互関係を築き、その延長が今の生活に反映されている。監督と被写体という関係性から、共にガンバレ☆プロレスに参戦するレスラーという関係になり、まさかのガンプロ真夏のトーナメントの決勝で当たる相手同士になるとは思いもよらなかった。

彼と対峙すると、彼との物語がフラッシュバックする。10年だ。特に言えば、やはり学生時代の出来事が想起する。彼と私のことだけではない。その当時、一緒に学生プロレスをやっていた仲間たちの顔も浮かんだ。



私はヘロヘロだったが、何がなんでも優勝したかった。そんな物語性されも、「優勝したい」という欲のほうが上回る。感傷はすぐに吹き飛んだ。

体力を温存していたのか、冨永の攻撃はすべてがクリティカルヒットだった。
彼のトペ・コンヒーロでは椅子席まで吹っ飛ばされた。強烈な張り手、ムーンサルト。

だが、最後は気持ちで勝てた。気持ちで下がらなかった。
なんとか気持ちで蹴りを打て、ぽっちゃりニーを決めることができた。
渾身の一撃、確かな感触があった。 



ガンバレ☆クライマックス優勝。掴みたくて仕方がなかったものをようやく掴めた。シングルの勲章を掴めた。とても時間がかかったが、同時に時間をかけて強くなることが出来た。ヘロヘロになったカラダに、観客の歓声が聞こえ、染み渡った。自分は優勝したんだと感じれた。諦めないでよかった。本当に、本当に。


試合後、僕の口から岩崎のガンプロ入団を紹介した。優勝したし、大家健もこの場にいなかったようなので、この機会に僕から紹介しようと思ったからだ。


岩崎は僕を「プロレスラー」として見てくれた後輩だ。僕を練習に誘ってくれ、共に切磋琢磨しようとしてくれた。「プロレスラー」としてカテゴライズされない、ホームページに載らない、名鑑に載らないという劣等感が、彼の言葉でどれだけ和らいだだろうか。

いつもガンプロの感想を熱っぽく喋っていた岩崎。彼の中にもこのリングで解き放ちたいという気持ちが芽生えたのかしれない。勝村さんが上がるリングというのも、彼には魅力に思えたことも大きいだろう。これでかつての仲間たちとは違う道を辿ることになる。他団体参戦も本人は熱望しているだけに、彼がガンプロ所属として様々な団体でアピールしてくれるに違いない。岩崎の気持ちとガンプロの磁場がどうシンクロするのか、これからが楽しみだ。

そして、高木社長を呼び、12月に予定している後楽園大会をガンプロにスライドして欲しいと直訴。
優勝したらこれは言おうって思ってたんですが、今しかないと思い、伝えました。

社長はtwitterでトレンド入りするようでなきゃおかしいと言っていました。
SNSとリング上の相関関係については様々な議論もありますが、確実に一つの指標になるでしょう。現実とSNSの接点、ガンプロが再び後楽園に向かうためにはここで波風を起こさなきゃ辿り着けない。僕も思ってても声に出さないことがついついあるんだけど、もうそうも言ってられない。とにかく運動にしなくては。

これから、これを起こしていけるかも大事になっていくでしょう。

今成革命はトーナメントを優勝することで成就されました。けど、これは第1次今成革命。ここからは第2次今成革命の突入です。これが途切れないよう、聖地・後楽園ホールまで、必死に、必死に、必死に。やろう、伝えよう、巻き込もう、景色を見よう。



最後に個人的な収支報告。賞金の出ないトーナメントに出場したわけだけども、一回戦の木人戦の凶器調達に約4万円超を注ぎ込みました。木曽レフェリーが気を利かせてくれて、この凶器の即売会の場を提供してくれたんですが、私の希望販売価格から値切り交渉やら、翔太が「もっと気前よく2000円とかで行きましょうよ!」と煽るもんで、断りきれず2000円で販売。6丁のエアガンが2000円で一瞬でなくなり、1万2000円となりましたが、トータルで大幅な赤字に。優勝者が赤字。うん、実にガンバレ☆プロレスらしいと言える結末かもしれない。

応援ありがとうございました!