ワタシは乳がん、妹は白血病、なんですが、その経過は、テーマ別でcancer sister'sを選択していただくとよくわかります。

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2019年4月25日、妹が天国に旅立ちました。50歳の誕生日まであと一週間でした。一カ月前に在宅医療に切り替えた後、死ぬ死ぬ詐欺だと言わせるくらい元気になり、息子のお弁当を作り、桜を見に出かけ、大好きな鰻を食べに行き、最後にみんなにキラキラした思い出を残して旅立っていきました。

白血病を発症してからの2年8カ月、なぜワタシが白血病に?という思いはきっとあったはずですが、このヤルセナイ思いを胸にしまい、賢い患者、感謝を忘れない人、ご機嫌な人であろうとする強靭なメンタルは、とても立派だったなぁと、我が妹ながら大変誇りに思います。

妹は再々発が確定した後、ひとり息子に「いつまで生きられるかわからないけれど、お母さんはもうあなたを充分に育てた。だからこれからはお母さんがいなくても大丈夫。あなたが助けて、ってお願いすれば、みんなきっと助けてくれるから。」と話したそうです。確かにこの息子、つまりワタシの甥っ子は、子供の頃は素直でかわいい男の子、そして今は好青年に成長中で、オバさんはついつい甘やかしてばかり。シングルのワタシにとっては、唯一自分のお葬式を出してくれそうな肉親です。こんな甥っ子を作ってくれて、本当にありがとうって思っています。

亡くなる5日前の土曜日の出来事です。ワタシは週末で実家に帰っていたのですが、妹から「棺桶で着る服を実家に取りに行きたい、車で迎えに来て!」とリクエストがありました。実家と妹の家は車で10分ほど。妹を迎えに行き、携帯点滴持参の妹を乗せて実家に戻り、娘ふたりが成長して今は物置と化している部屋から、お目当ての洋服を見つけ出しました。白地に赤とピンクの花柄のワンピースでした。死んだらこのワンピースを着せて、とお願いされました。

まさか一週間もたたないうちに、このワンピースを着ることになろうとは、少なくともワタシは予想していませんでしたが、妹自身は着々と旅立ちの準備をしていたのだと思います。お見事!って感じです。

またエンディングノートには、お葬式は無宗教で散骨、音楽はこれをかけてくれ、花はガーベラメインで、お知らせはごく限られた友人のみに、といろいろと希望が書いてありました。妹が望んだ通り、たくさんのお花に囲まれて、妹の友人ひとりひとりとゆっくりお話ができたお葬式でした。

すべてがこの調子で、在宅医療に切り替えてからの一ヶ月、自分がいなくなることを想定して着々と準備をしたのだと思います。断捨離をしながらどんな気持ちだったのか想像すると、涙が出てきます。本当に見事な死に様でした。

ちょうどこの頃、長いこと使っていたオレンジのお財布が壊れてしまいました。妹の死後、ワタシ宛の箱を開けると、中からワイン色のカルチェのお財布が。なんてタイミングなんでしょう。大事な形見の品のひとつです。

「立派に生きて、見事に死んだな!」って妹に言いたいわけですが、最後にちょっと笑える話を。

妹が亡くなった当日、甥っ子は一生分の涙を流し尽くし、お葬式ではほとんど涙を流しませんでした。その甥っ子が、お葬式が終わったあとに、「みんながママのことを、いい人だった、素晴らしい人だった、って言ってたけど、褒めすぎだし、ちょっと違うよ〜。」と言ってきました(笑)  妹へ、あなたの息子は本当に素直に育っていますよ!(笑)