このブログは乳がんになった温泉オタクのブログなんだけど、前にも書いた通り、ワタシの乳がんを語る上で、妹が白血病だということを避けては通れない。なぜなら、ワタシ自身が乳がんであることを受け入れることができたのは、妹の存在なしでは語れないからだ。

遡ること2年半前、妹が白血病になった。当時は、白血病なんて、、明日にも死んじゃうんじゃないか、と絶望的な気分になったものだ。その後、骨髄移植が有効ということで、兄弟姉妹でも適合率は25%と言われる中、見事適合、元気な骨髄液の持ち主のワタシはドナーとなった。三ヵ月間にわたる抗がん剤治療で、すっかり髪の毛も抜けてしまった妹に、ワタシの骨髄液が移植されることになった。

骨髄移植なんていうと、たいそうな手術でもするんじゃないかと想像してしまうが、ドナーは寝ている間に骨髄液を採取され、ドニーは、病室のベッドから動くこともなく、点滴がつる下がっている点滴棒に、あらたに骨髄液が加わり、腕から注射で骨髄液が身体に入っていくだけだ。あまりの簡単さに拍子抜けしたが、白血病の治療の難しいところは、移植後のコントロールなのだそう。

このドナー体験は、なるほどガンとはそういうものなのか、と、今思えばガンを知る第一歩であった。ワタシ自身は移植日前日に入院して検査をし、当日は朝から全身麻酔、お昼過ぎに目が覚めたら、腰に二箇所、蚊に刺されたような跡があっただけだ。その後、妹の病室に行ったら、ワタシの骨髄液がぶら下がっていて、ちょっと不思議な気分だった。

骨髄移植当日の午後。妹の病室にて。
左上の血液のようなものがワタシの骨髄液。


ガン細胞は、誰でも毎日、出来ては消えているらしい。何かの拍子でガン細胞が増殖し、ガンと診断される。妹の場合は血液中に増えてしまったガン細胞を、抗がん剤治療で叩いた後、ワタシの骨髄液を注入することで、ガン細胞が増殖しにくい環境を作ったわけだ。

骨髄移植から三ヵ月後、妹は退院し、更に一年後には職場復帰まで果たし、すっかり元気になった。おそらくワタシの乳房には、すでにガン細胞の芽があったと思うのだが、当時はもちろん知る由もない。