アメリカばんざい/Crazy as usual | 愛こそすべて LOVE IS ALL

アメリカばんざい/Crazy as usual



 アメリカは世界最大の不幸の輸出国となった。そのアメリカでのアメリカ軍兵士達の現実を取材したドキュメンタリーです。9/11においてアメリカは1つとなりテロの戦いまっしぐらに突き進んでいってしまったけれども、そこで実際に戦った兵士達の現実は、非常に悲惨です。その悲惨な現実を次々と暴いて行くのがこの映画なのだけど、映画全体としてとてもまとまりがないような印象を受けます。宣伝を見た限りは僕はてっきりアメリカ海兵隊の訓練所の様子がメインだと思っていたのだけど、そうではなく、社会的弱者が志願せざる得ない現実だとか、アメリカに300万人いるホームレスの3分1を占めるのが元兵士であるとかといった問題に対する取材も挿入されている。色々な問題がごちゃごちゃまぜになっている映画なので、とっちらかった印象を受けます。まあそれだけ戦争をするということは色々な問題を含んでしまうし、アメリカでは色々な問題が解決されることもないまま放置されているということなのでしょう。

 しかしみていてやっぱり衝撃的であったのは、海兵隊の訓練所の様子です。スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」で新兵をしごくエピソードがあるんだけど、あの映画もすげえなぁ思ったけど、この映画で訓練所でのシーンもメチャクチャ厳しいです。新兵が訓練所に到着して親に電話をかけるシーンがあるのだけど、話す言葉も時間も決められているし、後ろで教官が怒鳴っているし、あんな電話かかってきたら逆に受け取った方は心配になってしまうと思う。完全に兵士になった人間に人権はないです。映画の中では高校生達に安易に軍隊の道を選んではいけないと教えて回る活動をしている人がいるのだけど、あの映像を見せたら、非常に効果的であると思います。

 訓練所のシーンはほんの少しなのが残念、映画が全編訓練所の内容だったら、もっともっと衝撃的な映画になるのではないだろうか?それにしてもよくあんなシーン撮らせてもらえたなと思う。

 映画全体を見るといつでも悲惨な目に遭うのは力のない市井の人々で、権力をもっている人間が私欲に走り無茶をする。命すら彼らの私欲の前には紙切れ同然なのです。アメリカ人でなくて良かったと思うけれども、世界の中で日本ほどアホみたいにアメリカに追従してる国もない。日本独自なものを作れず、真似するならせめてヨーロッパの国にして欲しいものだと思う。アメリカには自由があっても人権はない。少なくともお金を持っていない人達には、人権はない。