リービング・ラスベガス | 愛こそすべて LOVE IS ALL

リービング・ラスベガス

 俳優の容姿ってやっぱりとても重要だし、単純にルックスから受ける印象っていうのも、役者は大切にしていった方がいい要素だ。レオナルド・ディカプリオにはお金持ちで甘ったれた役は似合わない、どう考えてもあの鋭い目は何をしても成り上がっていこうとする者の役が似合う。作品の出来は別としてギャング・オブ・ニューヨークはハマッていたと思う、ちょっとダニエル・ディ・ルイスが凄すぎたけど。逆に「仮面の男」や「タイタニック」では、レオの役としてはどうももどかしさが残る。

さてあのボーとした甘いマスクを持つニコラス・ケイジですが、彼にはダメな男がよく似合う。女グセが悪くて、甘いマスクで自分勝手に生きてる、そんなどうしようもないボンクラ役が彼にはピッタリだ。そしてこのリービングラス・ベガスはまさにそんな映画だ。

酒で仕事もワイフもなくした男が、ラスベガスで酒にまみれて暮らすというひたすら退廃的な映画。しかしアル中もここまで徹底的にやれば尊敬したくなる。スーパーでバーボンをカートにポンポン放り投げていく姿に、強烈な憧れを抱いてしまう。そんな彼を、その日、その日で暮らしている娼婦が好きになってしまうのは必然的展開。2人は激しく愛し合うのだが、それは大前提として何処にも辿りつかないという了解が2人の間にはあるから。だからこそ、その姿は美しく、悲しく、どうしようもない程の深みを持つのだろう。最終的に娼婦は死に行く男を見てしまい、男はアルコールの先にある世界しか見ていないというズレが生じるのだが、そのズレがまたさらに悲しみを誘う。この映画のニコラス・ケイジは本当に駄目な男だ、だけどホントに、最高にク―ルだ。




タイトル: リービング・ラスベガス