三鷹のFacebookグループの方の投稿を見て驚いた。

 野川公園でゲンジボタルが100頭以上舞っていると言う。野川公園は湧水が豊富で30年以上前からホタル復活に向けて取り組んでいたが、なかなか定着せず活動休止だった筈だ。それにしても100頭超とは眉唾かな?正直、半信半疑で野川公園へ行ってきた。

 

 いや、いや、驚きと言うよりもう奇跡だ。

 自然観察センターのホタル園じゃなくて野川の本流でホタルが乱舞している。

 5歳の時に小金井の天神橋のたもとで私は育った。結婚してからも調布の野川はすぐそばに流れている。

 1960年台前半は、自分の家の前に湧水があり学校から帰って潜ったりサワガニを捕まえたりした。天然記念物となったミヤコタナゴも足首にぶつかるぐらいたくさんいた。それが東京五輪後急速に家が増え、下水が流されるとわずか2、3年でドブ川と化した。水は白濁し悪臭を放った。それでも正月三が日とお盆の時は水が澄み、流れの音はいつも癒やしてくれた。

 高校生の時、家の前の野川は瓦礫で埋め立てられた。コンクリートで固められた直線水路となったのだ。下水が配備され野川の水はドブではなくなった。そのかわり、かつて暴れ川と称された大川はやせ細り子どもの水遊び場となった。渇水期には水が干上がり長い砂利道のようになることもあった。

 50年以上野川沿に住んでいるが、21世紀になって「野川で野生のホタルが飛び交う」こんな光景見られるとは思わなかった。河川敷に生える桑の木のそこここにホタルが群れている。こんな素晴らしい光景は、普通の放流ホタルでは観られない。   

 ぜひ子ども達にも観せてあげたい。すぐ脇は東八道路でクルマがバンバン走っている。この奇跡はどうして起きたのだろう。その驚きは長年ホタル復活を手がけてきた人々にも奇跡に映った。

 

令和の奇跡

  平成30年(2018)6月驚くべき事が起きました。
自然観察センター北側にある野川の柳橋から桜橋間に、”ホタルが自然発生”したのです。 ”野川本流で自然発生”したのです。「ほたるの里」では、長い間あれほど苦心しても、増えることの なかったホタルが”野川本流で自然発生”したのです。
みんなは”奇跡”だと喜びました。

 

ホタル再生プロジェクトHP

 

 

 

 

 

 「野川公園は自然が豊かだからホタルも復活したんですね」そう思いがちだが、それは違う。なぜなら野川はもはやサイボーグみたいなもので人の作った自然だからだ。環境を整えホタル再生へ努力しても叶わなかったことが、「これが自然の力だ!」と言わんばかりに奇跡を起こしたのだと思う。

 

 

 「貴重なホタルを守るために入場を制限しろ。人は入れるな。」と言う声も聞こえそうだ。しかし、専門家も予期しなかったこの奇跡、どんなに保護してもずっと続くとは限らない。洪水や渇水で消える可能性もある。自然が作ったものは自然に委ねるしかないだろう。むしろ、子どもから大人までこの奇跡を目に焼きつけ、触れ合う中でマナーを身につけることが大切だと思う。