中国の故事です。
 あるところに愚公という男が住んでいました。愚公の住む村には泰山という山があります。中国大陸の山ですから小さいといってもハンパではない。その泰山を、愚公は「平地にして畑にするんだ」といって、毎日、モッコをかつぎ土を運びます。周囲の人間は「そんな無駄なことをしてどうするんだ」と忠告します。
 それに対して愚公は「無駄なことではない。子子孫孫(ししそんそん)続けていけば、いつかは平らになる。第一、山は大きくならないのだから・・」
 
 うちの学校の小学校6年生の教材です。
 
 今、「自分が何をしたらいいか」と真剣に思ったら、この愚公の精神がとても大切だと思います。
 
 チョコレートのKitkat(製造元、ネスレ)が震災復興支援製品として、キットカット「ずんだ風味」「林檎」の販売を開始しました。通常の商品より10円高く、その分の利益はすべて義援金にまわすことを宣言しています。阪神淡路大震災で社屋倒壊の被災を受けた企業ならではの発想です。
 
 バスケットボールプロリーグのbjリーグでは、早々と観戦チケットに義援金を上乗せする方針が発表されました。
 
 募金活動やチャリティーは、とても大切な支援活動ですが、長期にわたる支援には向いていません。ましてや、復興のための増税が行われれば、国民の募金への意識は水をかけたようにしぼんでしまうでしょう。
 
 今回の震災は、少なくとも戦後日本で最も大きな試練です。現役世代で、これほどの国難を経験した人間はいません。だからこそ、国民運動のレベルでの頑張りが求められています。「そっちはそっちでやればよい。こっちはこっちで考えている」という発想では力にならないのです。
 
 スキージャンプは、スキー競技の中で唯一、オールシーズン活動します。
 マイナー競技ですから観戦チケットでは支援できませんが、せめて、大倉山や白馬では、選手がトレーニングをしている時だけ見学リフト料金を100円増しにできないものでしょうか?そのお金を払うか払わないかは、個人の判断にゆだねられます。「制度上できない」というのは言い訳でしかありません。ヤル気さえあれば、日本国民の問題としてさまざまな特例措置が行われています。それに、大倉山ジャンプ台も、白馬のジャンプ台も役所ではなく、民間の運営なのですから。
 お年玉付き年賀はがきが根付いている日本なら、それぞれの場で募金の発想を工夫できるはずです。
 
 今回の震災に関しては、災害ボランティアの経験者を、国政選挙の投票率の半分(3000万人)まで高めるべきだと考えています。もちろん動きたくても動けない人はたくさんいます。その代わり、選挙権を持たない未成年でも参加できるわけですから、決して妄想ではないと信じています。