最近、現役の音大生が数名歌を習いに来ていますが、
私の大学時代と何も変っていないことにガッカリしています
日本の音大は、「響き」ばっかり重視し、ほとんどの人が頭の上のほうで、ひゃらひゃら声を回しているのが現状です。
使っているのは、言ってみれば上半身の前身ごろだけ
肝心の背中や腰、ましてや「第二の横隔膜」と言われている「骨盤底」など、話のタネにも上りません。
目と眉はつりあがり、凄い顔で歌っています。
いわゆるふざけてクラシック歌手の真似をした時のあの顔です。
下半身の「支え」が全くないので、音程はほぼ上ずっています
上半身は前かがみになり、呼吸は完全に胸式呼吸です。
言葉ももちろん不明瞭で何を言っているのかわかりません。
でもそれが「クラシック」だと思い込んでいる彼らは、
そんな怖い顔をして上ずった音を出している自覚がありません。
それが身についてしまっていると、その習慣を直すのにかなり時間がかかります。
かわいそうに・・・・
それが正しいと思い込んで一生懸命やって来てしまった結果、何もまともに歌えないのです。
ましてや、音域が広く、強い地声から美しい頭声まで自由に駆使出来る肉体を要するミュージカルナンバーなど歌えるはずがありません。
私も芸大を卒業し、入団したての頃は、本当に苦労しました。
「支え」と言う言葉さえ知らず、「響き」ばかりで歌ってきたからいつも不安定でした。
Mixボイスを使い、チェンジボイスを完全にマスターするのに、実に4年近くかかったと思います。
それがいまだに繰り返されている音大の現状・・・・
かえって、何も変な知識も経験もない人の方が素直に声を出しています。
まして、幼い頃からバレエやダンスなどの有酸素運動をして来たダンサーは、呼吸を取り込む体幹の筋肉が柔軟なので、ちょっとコツを教えてあげると、のみ込みが非常に早く、声が出てくるのも早いです。
それに彼らは、地声を出すことに全く抵抗がないので、変に(日本の)クラシック歌唱をやって来た人のように拘りも恐怖もなく思い切って声を出してくれます。
でもね・・・・
欧米の一流オペラ歌手などを見ていると、
みんな大地に足を踏みしめて、体中の筋肉を張って、
体の奥底から口を開けて、肉食獣の叫びのように歌っているけどね~
それはブロードウェイの俳優達も全く同じです。
だからこそ深い感動があるんです
日本の音大生だけだよ、上澄み液を歌ってるのは・・・
その現状を話すと、ショックを受ける方もいらっしゃいますが、まだ若いからしっかり気持ちを切り替えて、肉体の鍛錬をすれば、私はきっといい方向に向かうと信じます
歌えるミュージカル女優を目指すなら、
音大に行くのは最早、「遠回り」「時代遅れ」かもしれません。
体の使い方や声をしっかり当てていく方法を教わり、ダイレクトに舞台を狙っていった方がいいような気がします。
音大でいい加減な発声を教わっていても、ミュージカルなんて一生歌えるようにはなりません。
まして、私立の音大は入学金や授業料半端なく高いし・・・
それで、実用性のない事を日々繰り返しているなんて悲しすぎる
もちろん、中には素晴らしい大学も先生もいらっしゃるでしょう(そう願いたい)
でも少なくとも、私自身、そしてここ10数年の間に教えた多くの音大生、または音大卒業生の中で、全身をしっかり使って歌っていた人は一人もいませんでした。
どうして日本の音大はこんなに変らないの
クラシックの先生方は、いまだにミュージカルを見下している方が沢山いらっしゃるみたいだし・・・・
何かガッカリしてしまいます