「家族を守る」

言葉にすると簡単だが、

現実はそんなに綺麗じゃない。


妹がガンになり、

甥っ子の将来や、

両親の老い、

自分の家庭のことまで重なった時、

頭に浮かんだのは覚悟より先に、

金の計算だった。


生活費。

医療費。

もしもの時の学費。

親の介護。

住宅ローン。

老後。


どれも「まだ先の話」にしてきたことだ。


正直に言えば、

夢を語る余裕なんてなかった。

守るべきものが増えた瞬間、

理想よりも現実の数字が重くのしかかってきた。


家族を守るには、

気持ちだけじゃ足りない。

優しさだけでも足りない。

結局のところ、

「いくら必要なんだ」という問いから、

誰も逃げられない。


妹に万が一があれば、

甥っ子の生活はどうなるのか。

両親が倒れたら、

介護は現実的に可能なのか。

自分が倒れたら、

今の生活は一瞬で崩れる。


考えれば考えるほど、

不安は増えていく。


それでも一つだけ分かったことがある。


「いくらあれば安心か」という問いに、

明確な答えはない。


あるのは、

足りないかもしれない、という現実と、

それでも働き続けるしかない自分だけだ。


だから綺麗事は言わない。


想いだけで家族は守れない。

記録だけで生活は回らない。

最終的に必要なのは、

やっぱり金だ。


それでも、

金のためだけに生きているわけでもない。


家族が集まる時間。

何も起きない夜。

当たり前の一日。


それを守るために、

今日も働いて、

考えて、

悩んでいる。


家族を守るって、

結局いくら要るんだろう。


答えは出ていない。

ただ、逃げずに考え続けている。