ぼんやりとぼとぼ歩いてるうちに
たどり着いたコーヒーハウス
ふんわり漂う香りのさきに
ゆるく巻いたサイドポニー


勝手がわからずキョドる僕に
彼女はメニュー表を差し出す
だけど僕の浅はかな眼球は
彼女の白く細い指を映し出す


1分かけてようやくラテとつぶやく僕に
1秒で微笑む彼女と揺れるサイドポニー
一瞬で世界の色が変わる鮮やかに
永遠にこの時間が続けばいい


コーヒーのように真っ黒な僕の心に
ミルクのように白くて爽やかな笑顔が
溶けて広がっていく隅々まで
出来上がったその色の名前を
まだ知らない春のできごと