晴れた日曜日の遅い朝

 

土手を歩く

 

久しぶりに来たなぁ

 

 

 

リードにじゃれつくように飛び上がりながら歩いている若い柴犬が向こう岸に見える

 

見上げる車道の脇を大型犬と小型犬が前後に並んで散歩している

 

 

 

どちらの犬たちにもHanaは挨拶したがっただろうな

 

犬が好きな犬だったから

 

 

 

この土手には何回か連れてきたことはあったけれど

 

もっと連れてきてあげればよかったな

 

もっとゆっくり散歩に付き合ってあげてればよかったな

 

 

 

ゆっくりゆっくり歩いたらよかったな

 

途中で座ったりフセしたり

 

おやつを食べてお水を飲んだら

 

また立ち上がってあの橋の下まで

 

 

 

 

川面のきらめきを見ながら過去を振り返る

 

仕事の締め切りのことを考えたりしながら

 

さて、そろそろ帰らなくちゃってリードを引いて急いだ日もあったな

 

 

 

またすぐ来れるから

 

もう夏の暑さでは車でも往復がきつくて無理だけど、また秋に来ればいいから

 

どうせまたすぐ来れるから…

 

 

まるでずっと元気でいるのが当たり前みたいに、そう思っていたのかな

 

 

 

この土手の草の生え具合や広さ

 

地面の柔らかさ

 

Hanaはおばあワンになっても喜んで歩いたろうな

 

あるいは途中で疲れて、まさかの抱っこをせがんだかな

 

 

 

後悔はしないって決めたのに

 

「たら」「れば」が草の間からどんどん浮き上がってくる

 

 

 

ふふって思い出し笑いをしていたら

 

水のきらめきが数倍にふくらんだ

 

ゆるゆると ふわふわと きらめいた

 

あ、そうか、また泣いていたんだな