夜、歩いていたら、前から自転車が走ってきた。![]()
自転車の前のカゴには、ロウソクが1本立ててあって、薄い紙(らしきもの)で火が消えないように囲んである。
そして、おじさんがそのロウソクの火が消えないように、必死にのろのろと運転していた。
何かのおまじないだろうか?
火が消えないようにフラフラしながら自転車に乗るくらいなら、自転車を押した方が安全なのに…。
ロウソクの火をつけるくらいなら、自転車のランプをつけた方が明るいのに…。
そんなことを思いながら、おじさんとすれ違ってすぐに、あることに気が付いた。
この先に、下り坂がある!
おじさんはどうするのだろう。
さすがに、下り坂を自転車に乗ったまま下りると、ロウソクの火は消えてしまうのではないだろうか。
自転車から降りるかな、火が消えるかな…。
思わずおじさんの後ろ姿を見守ってしまった。
キキキキキーーーーッ
おじさんは自転車のブレーキを最大限握り締め、耳障りな音を響かせながら、坂道をグラグラと下っていった。
おじさん!
そこまでして自転車に乗りたい理由はなんですか!