「椰子の實(実)」
以前ブログでご紹介した通り、1936(S11)7月に
NHKラジオ番組「国民歌謡」番組担当者が、当時
から35年前に刊行された「落梅集」に掲載された
島崎春樹(島崎藤村さんの本名)さんの「椰子の實」
に曲を付す様依頼されたオルガニスト:大中寅二さん
が、作曲し、数日後の7/13~1週間「国民歌謡」で
放送されました。歌唱担当は当時の人気歌手の
東海林太郎さん。
・・・ここごまではさせて頂きました。
今回は歌詩の意味について、ご案内。
汝(なれ):おまえ
ここでは、漂着した椰子の實に対して
そも:いったい
波に幾月:波に何カ月の間(流されてきたのか)
1.名前も知らない遠い島から 流れて来た椰子の實が1つ
故郷の岸を離れて、おまえはいったい何カ月の間、波に
流されてきたのだろうか
もとの樹:椰子の實が成っていた木(樹)
生ひや茂れる
:(今も)生い茂っているのだろうか
枝はなほ影をやなせる
:枝は今もなお影を作っているのだろうか
渚を枕:渚の音を枕に
*旅にかかる言葉は「草枕(心の休まらない旅先の眠り)、
又「旅」は「人生を象徴した言葉」とされるそう。藤村先生の
詩では、「海」の「旅」なので「草」ではなく、「渚」としたと
言われております。
浮寝:寝場所が一定しないこと
2.この椰子の實が成っていたもとの樹は、
今も生い茂っているのだろうか
枝は今もなお 影を作っているのだろうか
私もまた 渚の音を枕に、独り寂しく
さまよいながら旅をしている
あつれば:当てれば
流離:流浪・放浪。故郷から離れてさすらう(旅)
憂い:寂しさ侘しさ悲しさ
激り落つ:激しく沢山流れ落ちる
異郷:故郷を離れたよその土地
3.流れ着いた椰子の實を胸に当てれば
さすらい歩く旅の寂しさが身に染みる
海に沈む夕日を見れば、故郷から離れた
よその土地で(郷愁を感じ)激しく流れ落ちる涙よ
八重の汐々:海をへだてて遠く
海をへだてた遠い旅路に想いを馳せる
いつの日にか 故郷へ帰ろう(帰りたい)
様々な解釈があると思いますし、様々な資料を
参考に、まとめたものなので、ご意見のある御方
もいらっしゃるかもしれませんが、いずれにせよ、
今から121年前の8月に詩が発表され、今から
86年前の7月に曲が誕生し、今から124年前の
7月に「椰子の實」という詩が生まれるきっかけと
なった柳田國男氏が恋路ヶ浜で、遠い島から
漂着した椰子の實と出逢い、實に嬉しかったと
感動したのでございます。なんてロマンティック💖
やっぱり、研究すればするほど、敬意を感じる。
歌って素晴らしいですね。心の文化でございます。
う~んだからこそ、椰子の実は私としては、
「椰子の實」とご紹介しいたいと思うのです。
いやぁ、東海林太郎さんの椰子の實、聴いてみたい
ですねえぇぇぇぇぇぇぇ。
ではでは・・・😊