「大磯町の宝・旧島崎藤村邸のご紹介」
~冠木門(かぶきもん)~
<2022(令和4)年3月3日山形雄子撮影>
旧島崎藤村邸の「冠木門」
冠木門:さかのぼると文献的には室町時代までさかのぼるらしい
のですが、実際できたのは鎌倉時代頃のようです。
左右対の門柱に、冠木(横木)を乗せて完成させた門
のことだそうです。古くは下層階級の家に用いられたが
諸大名の外門にも用いられた作りだそうです。
「町屋園」と呼ばれたこの一帯は、大磯町の別荘地として作られ、
旧島崎藤村邸もその1棟です。 1941(昭和16)年1月14日、
親友の菊池重三郎氏(元新潮社勤務・小説家でもある)に誘われ、
大磯町の道祖神の火祭り(左義長まつりとも呼ばれ毎年1/14に
開催)を見学する為、静子夫人と夫妻で初めて大磯町へ来遊。
大内館に宿泊し、俳優の天明愛吉氏他とも合流し歓迎を受けた。
この時、大磯町に魅かれた藤村先生ご夫妻は、天明愛吉氏に
紹介された「町屋園」の1棟であるこの冠木門の家を気に入り、
借ります。暫く、当時住んでいた東京麹町と、大磯町との往来生活
を過ごすのですが、「終の棲家」として、大磯のこの借家を当時
では大金となる額で購入し、移住。約2年半過ごします。
「道祖神のまつりを見んとて大磯に来りて・・・」
「借家なのに庭木をばっさり伐採?!」
<菊池重三郎氏の著「靜の草屋の庭」より>
まだ借家で東京麹町の自宅と往来していた頃、ずっと空家だった
借家の庭は荒れ放題だった。梅が見頃を迎える2月頃に藤村
先生が大磯に顔を出すようになり、職人も入った事もあり、ひと月
ほど経過すると見違えるほど手の行き届いた家に変わっていた。
菊池氏は「木曽」の人々との交流経験があり、どこの家庭も庭
造りにこだわりがあり、手入れの行き届いた好い空間があった
そうですが、同じく木曽出身の藤村先生にも同じものを感じたそう。
驚いたのは、借家だったにもかかわらず、大きな槙の木が2~
3本はあったはずなのに、全てばっさり伐採(バッサイだけに💦)
してしまった藤村先生!!驚く菊池氏に、藤村先生は穏やかに
「あれは深山の木だからね」・・・と答えたそうです。
その切株の跡はこれかな?こっちかな?どれだろう???
藤村先生が庭に配置するのは、身辺に親しみのある草木ばかりで
大げさなものはなく、石なども、大したものではありません。その
なんの個性も強くない石を巧みに配置し、何とも言えない穏やかな
庭が出来上がっていく、それを愉しまれていたご様子だったそうです。
3度目の取材で知ったのですが、藤村先生が配置したのか??と
思うような小石で草花を囲っている場所が増えていたので、管理人
さんに尋ねると、弱ってしまった草花を守る為に石を周りに配置し、
栄養なども外に逃げないよう必死に守っているのですっ!!効果が
あるのかがわからないのですが、みんなで必死に守っています。と。
本当にささやかな目立たない足元の「愛」でございます💛どうか、
無事に守られ、生き残りますよう、祈ります。
お庭の苔も、今は本当に見事な苔が広がっておりますが、実は、
大磯町の管理下になってから、関係者が草を1本ずつ、本当に
地道にコツコツ草を取り除き続けたことで、こんなに苔が気持ち
よさそうに拡がったそうです。感謝でございます✨
最後に・・・
残念ながら、冠木門の脇にあった、シンボルツリー的存在だった
立派な古木の大きな松が、今年2022年3月12日に、虫にさい
なまれ、泣く泣くご卒業。新たな松が植樹されました。
<2022(令和4)年4月17日山形雄子撮影>
ううううううう松が無いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ😢💦寂しい😢💦
頑張れ!新しい松君。大きくなるまで何年かかるのかしら?
私は見届けられないのかな??陰ながら応援しております。
さぁ、今日はここまで。・・・にようかとおもいましたが、旧藤村邸の
外観をご紹介致しますね。
海側(南側)の竹垣越しのお庭。左からドウダンツツジ・梔子
カナメなどが見えます。奥には寒椿も右端は隣の家の白梅。
下は竹垣を優に超えて聳え立つ見事なドウダンツツジです。
ドウダンツツジの目の前が書斎として使われた茶室風の小座敷
がございます。ドウダンツツジの右隣に少し黄色い葉が見える
木はクチナシだそうです。これから咲いてきます。楽しみですね。
西側・玄関側の外観と案内板
残念ながらドウダンツツジの満開時期は逃してしまいましたが
新芽と白いお花のコラボは楽め、更に雨に濡れて喜ぶ苔や、
カナメの赤い新芽なども愛でる事ができ、行ってよかったです。
この奥に、「ツツジ」が2輪咲き始めていました。これからが
楽しみですね。
次回は、旧藤村邸の建物の方のご案内を中心のお届け
致します。お楽しみに😊
1年間、取材を続けたいと存じます。(ドウダンツツジの満開を
逃してしまったから1年以上になっちゃうかな💦)
大磯町の管理人のお姉様にもとってもお喜び頂けてい居るので
私も嬉しいです。出来る限り分かりやすく、興味を持って頂けるよう
アピールして参りたいと存じます。ではでは・・・。