3、成立した主な法案

20061215日成立 教育基本法 改正

20061215日成立 防衛庁設置法 改正(防衛庁・省昇格法)

2007514日成立 日本国憲法の改正手続に関する法律 (国民投票法)

2007515日成立 イラク復興支援特別措置法 改正

2007630日成立 日本年金機構法 国民年金法 改正(社会保険庁改革関連法)

2007630日成立 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 (年金時効撤廃特例法)

2007630日成立 国家公務員法 改正(公務員制度改革関連法)

この中から気になったものを、いくつか取り上げてみたいと思います。

教育基本法改正について

この法案は安倍総理が、最重要法案としたもので、昨年12月15日に可決・成立しました。この改正によって、公共の精神の尊重を強調し、生涯学習や大学に関する条文が追加され、教育目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」との表現で、『愛国心』も新たに盛り込まれました。

国を愛することは、私は賛成です。私は日本が好きだから。それは個人の善し悪しであり、法律で縛ることには大きな抵抗があります。文言にはそれほど過激な表現はなく、目くじらを立てすぎなのかもしれません。しかし、これがエスカレートしないとは限らないと思います。『愛国心』を持たない人、行動で示さない人を処罰するような世の中へ逆行しないことを願います。

また、改正反対派の声を無視し、タウンミーティングでのやらせめいた質問・世論の偽装など、改正を強行する安倍政権に不安を拭えません。

(『リアルタイム世論調査』より 調査期間:20061205 2230分~20061225日)

+図無し+

防衛庁設置法改正(防衛庁・省昇格)について

   この法案は私の最大の関心点の1つであり、上記のと通りこのレポートのテーマを決める決定打となったことです。今年の1月9日より『防衛庁』から「防衛省」になったこの法案も、安倍政権の重要目標の1つでした。

まず、私たち国民は「何故防衛省になるのか」という疑問は未だに持っていると思います。それに対して防衛省(当時は防衛庁)は「大規模災害や北朝鮮のミサイル・核問題などの『国内的問題』、テロとの戦いやイラク復興支援などの『国際的問題』に的確に対応するため、省への移行が不可欠」(防衛庁『防衛庁を省に』より)と言っています。また「何故防衛庁では困るのか」という疑問については「現在、日本の防衛は『内閣の業務』とされており、防衛庁長官は防衛の『主任の大臣』でないため、安全保障や危機管理の問題に的確に対処できない」(出典は上記と同様)としています。

本当に省への移行が『不可欠』なのか、省へ移行すれば的確に対処することができるのか、私は疑問です。

そして私も含め、多くの国民が案じているのは、日本の『軍事大国化への危険』だと思います。これに対しては「省への移行は、国の中央官庁における位置づけを変えるものです。省にすることで、シビリアン・コントロール(文民統制)、専守防衛、軍事大国にならないことなど、わが国の防衛政策の基本が変わることはありません」と、その危険を否定しています。が、教育基本法の改正同様、今後のエスカレートが懸念されます。

日本国憲法改正の改正手続きに関する法律(国民投票法)について

日本の土台を60年間支えてきた日本国憲法。その改正手続きを定めた国民投票法が07年5月14日に与党の賛成多数で成立しました。早ければ2011年にも、この国の“かたち”を決める憲法です。

投票の対象を憲法改正に限定。国民投票の投票権者は18歳以上の1億人余り。国会が発議した憲法改正案は国民投票の有効投票総数の過半数で承認されます(但し、成年年齢、選挙権年齢を18歳へ引き下げるなど関連制度の整備が行われるまでは20歳以上)。

 投票権の引き下げについて、私は賛成とも反対とも言えません。これにより、面白半分に投票に行く人が出ればこの国が正常に機能するか不安ですが、現在20歳以上の国民がきちんと考えて投票しているか、疑問だからです。

 この法案成立による安倍政権のねらいは憲法第9条改正です。私は元々それには『防衛庁設置法改正』で述べたものと同様の理由、つまり『軍事大国化の危険』を懸念していて反対です。それに加え、今後平和主義や国民主権の改正などの逆行が起こらないとも限りません。その他にも、公務員や教育者の国民投票運動の制限・憲法改正案の広報が公正かつ十分に広報されないおそれが強いこと・国会の発議から国民投票までの期間が僅か60日ないし180日とされていること・過半数の賛成の対象が有効投票総数とハードルを極めて低くし、最低得票率の定めもないことから、少数の賛成によって憲法改正がなされるおそれがあること、などが心配されています。

(『リアルタイム世論調査』より 調査期間:20070317 0025分~20070401日)

+図無し+



年金問題について(社会保険庁改革関連法と年金時効撤廃特例法)

   年金時効撤廃特例法と、社会保険庁を解体する社保庁改革関連法は、年金記録不備問題(後述)を受けて先月(6月)30日に可決・成立した法案です。

   年金時効撤廃特例法とは年金記録が訂正されても、5年間の年金請求権の時効で支給漏れ分を受け取れなかった人に対し、過去にさかのぼって全額補償するという翻案であり、社保庁改革関連法は日本年金機構は厚生労働相の監督の下に、厚労相と密接な連携を図りながら、厚生年金保険事業および国民年金事業(公的年金事業)に関する業務等を行うことを目標とした法案です。

   年起因問題については後で触れますが、安倍内閣どころか日本の政府全てを信用できなくなりそうです。こうした小手先ばかり、口先ばかりに見える法案を出したとところで何かが本当に変わるのか、疑問です。