東の空がぼんやり明るくなり、星の数が減って、

日の出に向かってただひたすら走るランナーたち。



雨でもなく、快晴でもなく、

どんより曇り空で、時折激しい向かい風が吹き付けた。




iPhoneを携帯してはいたけど、音楽を聴く余裕はなく、

ふと耳を澄ませば、波の音が聞こえて来て、

じわじわ汗ばんできたカラダに

海からの風が心地よく感じた。









どこまでも果てしなく続く、噂の地獄のハイウェイ。

ここを走る時みんなは何を考えているのだろう?



記録を狙うトップランナーたちがものすごいスピードで、

折り返しを終えてすれ違う瞬間、

どこか焦りを感じる。







要所要所で目標物を定めてペースを保つ。

亀と書かれた悟空の背中を追い掛けながら走った。










ハーフを超えると、次第に足が重くなってきたのがわかる。

こまめにストレッチを挟みながら、

カラダと気持ちをリセットする。


足を屈伸するだけで不思議と軽くなる。


これがワタシ流。





海をバックにヨガポーズを取ってみたり。

余裕そうに見えるけど決してそうではない。



カメラマンは伴走荒川氏。

重い一眼レフを持たせてしまってゴメンなさい。




コースの途中では、ロコバンドがヘタウマな応援歌?を披露。



見覚えのあるadidasの“all honolulu”と書かれた横断幕を発見!

地元の学生ブラスバンドと一緒に声援が聞こえて来た。

せめてみんながいる前だけでもスピードアップしなきゃ。






恵みのゲーターレイドをちびっ子から受け取り、

思わずニコッと笑顔が戻ります。








歩いたらダメだとわかってはいるけど、

足が重く、一歩一歩を踏み出すことさえ辛くて、

何度も気持ちが折れそうになる。

余裕がなくなって口数が減る。



テンポがつかめない。

私の浮き沈みに合わせて走ってくれている荒川氏が、

ペースメーカーになって、なんとかコントロール。


ようやく30km地点の看板が見えて来た。


ハイウェイ折り返しからの、ダイアモンドヘッド、

そして最後の住宅街・・・とアップダウンが続く。

たいがいのランナーがスタミナを奪われているようだ。





1ヶ月前に予行練習で、

皇居を8周ちょっと走ったあの時より遥かに辛い。

こんなはずじゃなかった。


気持ちはもう限界に近かった。






景色も忘れ、暑さも忘れ、タイムも忘れそうになっていた頃、


「あと2kmだからこのまま行けば5時間台でゴールできるよ」

という一声で、最後の力を振り絞った。




“FINISH”の文字が見えて来た。




ギャラリーが増え、拍手で迎えられる。


スポンサーのJALのCAさんと、取材陣、

ADKの皆さん、そしてadidasチーム、

見覚えのある顔ぶれが見えた。



ゴールを目指して、全力でダッシュ。



門をくぐる時は、二人で手を挙げて走り抜けようって決めていた。





ゴーーーーール!!!!




レースが終わった。



笑顔だったはずが無条件に涙が溢れて来た。





今ここにあるのは、

ボロボロの体と、言葉に言い表せないほどの達成感。



それから、隣でずっと走り見守ってくれていた、

伴走者荒川さんへの感謝の気持ち。



初めてのフルマラソン。

決して誇れるような順位やタイムでもない。

だけどたぶん、この壁は一人じゃ乗り越えられなかったと思う。








ペースはどのくらいで走ればいいか?

ストレッチは?水分補給は?カロリー補給は?



全てが未知の世界で、不安と迷いだらけの中で、

楽しさと喜びに導いてくれた強力なサポーターがいてくれたからこそ、

今があるんだと思う。







友達、カップル、親子、老夫婦・・・

いろんな関係性の参加者たちがいて、

全ての人達に感動のシーンが待っている。


泣きながら抱き合っている二人を見ると、

こちらまでその感動をお裾分けしてもらえる。

新たな絆が生まれる。




時間は関係ない。リミットもない。

歩いたっていい。

ゴールすることに意味があるから。

それがホノルルマラソンのいいところ。





先にゴールしていたこにたんと合流して、

フィニッシャーTシャツとメダルをゲット。

お決まりのこのポーズ♡




次回はこにたんに追いつけるように頑張ろう。

また新たな目標ができてしまった。








「走る」という行為を日常にした15年以上も前からずっと夢だった、

ホノルルマラソンへの出場。そして完走。





この感動と達成感はやみつきになりそう。




走るということは、人生そのもの。



だからまた、次の目標に向かって、

これからも一生走り続けて行きたい。