10月23日 霜降。
本日からしばらく二十四節気の霜降となります。
露が冷気により霜となり始める季節となります。
秋の様相が一段と深まる季節です。
霜が降りたみたい。
霜の降りた朝
1977年リリース。
♪君と話した最後の電話 目を閉じてきった
いつのまにか闇は薄れて月をぼかしてた
まるであなたに似合わないわと
いつも笑われた重いコートに腕をとおす
今年も初霜
それからGlorious
屋根から上るGlorious 夜明けを
眉にしわをよせて振り返り
郊外の駅へと歩いていく
炎のような恋をするにはもう若くないし
長続きの愛を得るには力がなかった
けれどもGlorious
いつも巡るよGlorious 夜明けは
またどこかでふと出会っても
変わらず暮らしてるだろう 真面目に
全てがGlorious
まぶしいほどにGlorious
とまどう僕を包んで 祝福してるみたいさ静かに
忘れるために打ち込むことは
ほら探せばありすぎる
別れ話をしてお互いが納得した後、そうなるまでの過程はすさまじかったのだろうか。
それともあっさりしていたのだろうか。
炎のような恋をしたとしても、なんだか火がくすぶり続けているような恋だったとしても、短くても長く続いたとしても、多少は涙はにじむのではないだろうか。
号泣まではしなかったにしても、涙はポロポロと流れるものなのではないだろうか。
最後の電話をきったとき、目を閉じてきったとき、さみしさのようなものはあったが涙は出なかった、
悲しい、もうふれあえなくなるなど
様々考えたなら、涙はポロポロこぼれたにちがいない。
しかし考える気力もなかった。
そうなる、最後の電話を目を閉じながらきるという予感があったからなのだろうか。
それほど軽い恋愛をしていたわけではないが、炎のように燃え上がりもせずに感慨深くなるほどの長続きの愛ではなかった。
ただ、重いコートに腕をとおしたときに「あなたに似合わないね」と笑われたことがふと頭に浮かび、簡単には忘れられないことだけは悟った。
たった今、携帯を通してだが耳元に聞こえていた声。元気がないのか、愛がないからなのか、坦々とした声がまだ耳元に残っているのだから、簡単には忘れられないのだろう。
もっと肩をまるめてうつむいて落胆することを予想していたのだが、意外にあっさりとして、無の気持ちになって落ち着いていられることが不思議だった。
燃え上がりそうな炎に何度も水をかけられたからなのか、いえ、自分自身が心の中で流した涙が、燃え上がる炎を都度鎮めていたからなのかもしれない。
この人は、私が愛する人ではない。
そんな違和感を都度覚えさせられたのだから、長続きの愛はこの人との間には存在しないのだろうと。
あなたは他の人でも愛したつもりになれる人。
私は愛したつもりなんてお遊びはできない人。
あなたはうそいつわりに踊らされて、それに気づけない人。
私は気づけないあなた以上に気づいてしまう人。
あなたはうそいつわりで満足できる、しようとする人。
私はそれができない人。
あなたは表面だけで満足しようとする人。
私はそうではない人。
お遊びするほどもう若くはないし、
うそいつわりで固めた人々と同じ舞台には立ちたくない。
ピエロにされ、もうこれ以上傷つきたくない。バカにされたくない。
お遊びの愛で満足できる人を相手に、長続きの愛を得るのに必死になるほどの力はない。
気づいていなかったと思うけれど、2人のシーソーはいつも私側が下に下がったままで、あなたはいつも上がったまま。
あなたはシーソーに座っていなくて存在していないこともあった。
シーソーが動くことはもうない。
動かなくなったシーソーに意味はない。
そんな光景を頭に描きながら歩いていたならば、靴を通してザクッと足裏に心地よい感覚があった。
ザクッ、ザクッ、ザクッと足裏にも、耳にも、頭にも、心にも心地よい感覚。
足裏から頭、耳、心、体全体に広がるこの心地よい感覚は霜。
霜を感じ、本日から二十四節気の霜降に入ったことに気づく。
私は涙を流したことがなかった。
この恋で、涙が私のほほを伝うことはなかった。
しかし心の中では、涙が流れていたのかもしれない。
この霜のように、涙は心のまわりで冷たくかたまってしまい、ほほをつたって流れることはなかったのかもしれない。
自分自身でも、私が愛する人ではないという自覚があったからなのか、シーソーを不在にしてしまうことにあきれてしまっていたからなのか。
太陽が出ると霜はとけだして姿形も消える。
この恋は、その程度のことだったのだろうか。
その程度のことに、なぜ私はふりまわされていたのだろう。
霜が降りて、マットな白一面の世界。
それはそれでGlorious.
太陽によってとけだし、葉に水粒がついたようになる様もGlorious.
全てGlorious.
目に映り、耳で感じ、体全体が感じるもの全てがGloriousに感じられるくらい、それだけ真摯に、この恋と向き合ってきたつもり。
そのある意味、自分の真剣さが今、霜となり現れ、そして消えゆく。
頭の中に描かれたシーソーも消えてゆく。
全てがGlorious.
私の心もGlorious.
とまどう私を包んで静かに祝福してるみたいに。
忘れることはできないけれど、来月早々に訪れる立冬の頃には、何事もなかったかのようにふるまえるにちがいない。
霜降が終わり、立冬が訪れる頃には。




