1946年(昭和21年)の3月6日、日本初のスポーツ新聞日刊スポーツが発行された。
その後、デイリースポーツ、スポーツ報知…とスポーツ新聞が次々と発行されることになる。
私はスポーツ新聞はほぼ読まないが、若い時に勤めていた会社には仕事柄スポーツ新聞に週刊誌、月刊誌がいつもいつも山積みになっていた。スポーツ新聞にもさっと目は通していた。
実は当時仕事で、かなりスポーツ新聞社さんにはお世話になった。
そんなスポーツ新聞社さんにお世話になっていた頃、サラリーマンはみなさん、スポーツ新聞や漫画週刊誌などをカバンに入れたり、手に抱えたりして通勤されていた。そして電車の中で新聞や雑誌を読む。
それが通勤電車内でのごく普通の習わしで、ごく普通の光景だった。みなさん紙媒体を通勤時のお供にされていた。
そんな新聞やら雑誌やらの紙媒体に囲まれて仕事をしていた私は、何気なくとある漫画週刊誌を手にとって読んでみた。
続きが気になり、それ以降毎週その漫画週刊誌を買うことになる。
毎週◯曜日朝、駅の売店で「◯◯グ◯◯◯◯◯◯◯◯ツをください」と買い求める私。
周囲を見渡せば、私が買い求めた漫画週刊誌を手にしているサラリーマンが多いこと多いこと。
自分がちゃんとサラリーマンの仲間入りをしたみたいで、なんだか気持ちがくすぐったいような、ちゃんとサラリーマン人生の幕開けを迎えたような不思議な感覚になったのを覚えている。
男性向けの漫画週刊誌だったので、なんだかおっさんみたいだなと苦笑したのも覚えている。
あの時から30年。
今ではスポーツ新聞、週刊誌といった紙媒体を手に抱えている人を見かけることはなくなった。
30年前、これからはマルチメディア社会になって全てがPC化される。10年後には紙媒体がほぼなくなる。既に百科事典はもう編集発行されなくなると言われた(実際に百科事典は編集発行されなくなった)。
あれから30年、今はまさにマルチメディア社会(マルチメディアなんて言葉すら聞かなくなったが)。
紙媒体がなくなって…いえ、今でも紙媒体はちゃんとあります。
たまに電車内で◯◯ジャ◯◯を手にしていたり、コンビニでスポーツ新聞を買い求めたりする方の姿を見かける。
「スポーツ新聞読まれてるのね」となんだかうれしくなる。
マルチメディア社会になると言われた時から30年たった今、マルチメディアなんて言葉は聞かなくなったが、確かに社会はマルチメディア化された。
共同インフラって言ったかなぁ。マルチメディア社会に伴って電柱がなくなる。光ファイバーと共に全て地中に埋めてしまう。災害時にも事故が起きにくいし、整備修理も楽になる。そんなことが言われていた。
しかし実際うちの近所では、まだちゃんと電柱が立っている。
マルチメディア化された今でも紙媒体に電柱は健在。
マルチメディアだろうがなんだろうが変わらないものは変わらない。
そんな変わらないもの、紙媒体のスポーツ新聞や雑誌を見かけてホッとする私は、マルチメディア社会にこなれていないかなりのアナログ人間だ。
そしてマルチメディアなんて言葉を使っていること自体が、なんだか古ぼけている。
マルチメディア社会になった今なお活躍中のニッカンスポーツは今年で75周年。どれだけの情報を提供してきたのだろう。そしてこれからもずっと情報を提供し続けるのだろう。たとえ電車の中でスポーツ新聞を読む人を見かけなくなっても。


