息子がお腹にいた時だった。
もういつ産まれてもおなしくないという時、出産予定日だった。
夜、なんだかお腹が痛い。
これは産まれるかも。
準備はできているもののなんだか落ち着かない。
とりあえず腹ごしらえをと、つくり出したのがホットケーキだった。
なぜかホットケーキが食べたくなったから。
「痛、痛た…」とお腹をさすりながら焼き終え、ペロリと2枚のホットケーキを食べた。
翌朝8時15分頃病院へ。
その日の13時53分に息子は産まれた。
ホットケーキを食べてその後何も口にせず、食べてから約15時間後、無事に息子が産まれてきた。
ホットケーキが私にパワーを与えてくれた。
それからホットケーキは、私にとって特別なものとなった。
1905年の本日、北海道の旭川で日本観測史上最低気温➖41度が観測された。
それにちなんで、寒い時にはあったかなホットケーキを食べて身も心もあったまろうと、1月25日がホットケーキの日となった。
確かにホットケーキは甘くてふかふかであったかい。食べるとなんだか心まであったまる感はある。
確かにね、息子を産んだ病院のベッドの布団はホットケーキみたいにふかふかで、産まれたばかりの息子もあったかで、なんだかホットケーキみたいな甘い香りがした。
息子を抱っこしたら、私の心もあったかになった。小さな小さな息子が私の腕の中にいる。甘い甘い気持ちが胸に広がった。
私にとってホットケーキは苦しみを乗り越えて楽になり、とびきりの幸せが待っている。そんな特別なもの。
なぜか息子には、あまりホットケーキを焼いてあげたことはなかった。だから息子は私に尋ねた。
「ねぇ、そういえばうちはホットケーキ食べないね。どうして」
「ホットケーキはね、君が産まれる時に食べたんだ。そして無事に君が産まれたんだ。だからとっておきの食べものなんだ」
「じゃあ、俺も産まれる前にホットケーキ食べたってことだよな。母ちゃんのお腹の中で」
「うん。まあ」
「ホットケーキかよ。もっといいもの食べてくれよ」
君が無事に産まれて、あったかな甘い気持ちになったホットケーキ。こんなにいいものはないよ。
身も心もあったかになるホットケーキ。苦しみを乗り越えて楽になり、とびきりの幸せが待ってるんだからね。ホットケーキは。

