先日、NHK東京児童合唱団時代にお世話になった、近藤真司先生が空へ行かれました。

小2の時児童合唱団で、初めて専門的に歌うための声の出し方を教えてくださった先生です。

とにかくブレス。明けても暮れても、ブレスの練習でした。
きちっとしたブレスで支えられれば、あとは当てるだけ。。それが一番自然な声の出し方。。そうおっしゃっていました。  

ご葬儀で、亡くなる2年前にご自分のお姉様に聴いていただくために、ご長男の伴奏で録音された歌が流れました。
「千の風になって」
オペラのアリアがお好きな先生でしたが、この曲が流れた瞬間、私は抑えきれなくなり、涙が止まらなくなりました。

79歳の先生のあまりに無理のない、真っ直ぐな、自然な発声。
そして、私が聞いたテノール歌手の中に、これほど「いい声」の歌手がいたでしょうか。。
身体を共鳴して出てくる先生の声に、小さい頃、ご指導いただいたNHK704リハーサル室での風景や、お友達と喧嘩をして先生に呼び出されて怒られたことや、コーリューブンゲンの試験で褒めていただいたこと。。次々と先生との思い出が蘇ってきました。

特に、歌のおねえさんになってから、児童合唱団と共演させていただき、ご指導にいらしていた近藤先生とお目にかかった時「もみじ」の出だしの声の出し方が、唐突過ぎるとアドバイスいただきました。
それは、ブレスが浅いからだと。。。
今でも「もみじ」を歌う時、一番気をつけていることです。

初めて発声を教えていただいた方が、近藤先生だったことは、私の歌人生の中で、とても幸運だったと思っています。

『息と言う字は、自分の心と書く。
吸う息は生きるため、吐く息は表現するため』

いつも先生はそう、おっしゃっていたそうです。。

これからも、ブレスの基本を大切に、丁寧に歌と向き合っていきたいと思います。

近藤真司先生、安らかにお眠りください。