前作、『北の舞姫』のラストで、今まで旦那さんとして支えてきてくれた黒谷も、友人も、みな捨ててしまって、満州へと山村を追いかけていったフミ。
危ない目に遭いながらも、命懸けで山村を探し出して再会した二人。
山村は楊建明という名で、胡子・・・馬賊の頭領となっていました。
フミは、黒谷の『夢の女』でいることが辛くなって、
生身の人間として、自分の力で人生を切り開いて生きていきたいと、舞姫としての名声を捨てて、建明を追いかけて満州までやってきたのです。
胡子の一員として認められようとがむしゃらに頑張るフミ。
やがて建明の妻として認められ、馬賊の一員としても認められていきます。
建明のそばにはナンバー2の炎林がいつもいました。
その昔、哈爾濱でも出会っていた炎林。
彼はフミをとても憎んでいるようで・・・
馬に跨り、銃を手にするフミ。
建明の前妻への嫉妬に苦しみながらも、日々精一杯生きていくのですが・・・・
どうやら、
「舞」に対するフミの思いは、本当に二巻目ですっぱり諦められたようで・・・
まぁ、二巻目で神がかった舞を踊ってしまったフミにとっては、もうあれ以上の舞はない、と思えたのかもしれないけれど、
たった一人幼い子供であったフミが大陸へ渡り、夢を叶えるべく血を吐くような努力をし、一巻では、初恋の人よりも「舞」を選択したのにもかかわらず、三巻目で、全く別の生き方を選ぼうとは・・・・・
「舞」に対するフミの一生懸命さが面白くて読んでいたので、
今作ではとにかく、馬、銃、戦い、血、といったことばかりがクローズアップされていて、ちょっとそのグロさになかなか頭が付いていけずといった感じ。
とはいえ、
舞姫、芙蓉の名をあっさり捨てて、馬賊の頭領の女として生きていくフミの凛々しさはすがすがしいし、フミは何があっても自分の足で、自分の道を歩いていくのだろうなぁと。
今作では、フミが舞に一心不乱に取り組むシーンは亡くなったけれど、
フミが、馬賊の宝である馬たちと心通わせていく場面や、
広大な大自然の描写は、壮大で夢中にさせられます。
初恋の人とフミは結ばれるけれど、
私はやっぱり黒谷さま推し・・・
あんなにぼっちゃんぼっちゃんしてた黒谷さまが、フミが去った後、ぐっと男らしくなっていくんですよねぇ❤
こんないい男を捨ててまで、建明を選んだ。
その結果は、次回、最終巻にて!