ちょっと話題が途切れてしまいましたが
「鈍い刀で首を斬る」というハナシ
これ、『曾我物語』にも出てくるんですよー
あ、『曾我物語』は何度か話題に出しているので
概略は省略……というか以前の記事をご覧くださいませ
で、曾我兄弟は見事に父の仇を討つのですが
お兄ちゃんの十郎は討死
弟の五郎は頼朝さんを狙いにいったとこで捕らえられます
この五郎が、鈍い刀でじわじわと殺されちゃうんですよ……
五郎を尋問した頼朝さんは
仇討を見事果たして堂々としている五郎に感動しちゃって
一瞬、許そうとまで考えるのですが
まぁ、でも、結局は処刑を命じることになります
仇討は、鎌倉幕府の大事な大事な巻狩の場で行われたので
頼朝さんとしては秩序を乱した者を許すわけにはいかないんです
この時、「処刑は自分がやります」
と執行役を願い出た筑紫仲太という男が
五郎に恨みを持っていたもので
わざと鈍い刀でじわじわ苦しめて斬ったそうです……
五郎が討った仇は工藤祐経という男なのですが
筑紫仲太は祐経を頼って領地がらみの訴訟をしていたので
祐経が殺されちゃってとても困っていたから
そういうえげつなーいことをしたのです
「え、そんな理由で」
と思われるかもしれませんが
『曾我物語』では、というか鎌倉武士にとっては
領地に関する訴訟って超重要なんです
でも
報告を聞いた頼朝さん、激怒します
そりゃ、一瞬でも五郎を許そうと考えたぐらいですから
で、頼朝さんは
「誰かいないか アイツの首も同じ方法で斬れ」
と言い出します
ここの頼朝さんのセリフの「誰かいないか(人は候はぬか)」って
なにやら臨場感があって好きです 笑
仲太は頼朝さんがそう言っていることを聞いて逃亡したそうです
(でも結局、五郎の祟りで死にます)
それにしても頼朝さんったら……
藤原経清さんを鈍い刀で処刑させた源頼義さん(by『陸奥話記』)
の直系の子孫ですよね
なにやら因縁めいたものを感じます