そろそろ劇団の公演が近づいてきたので……
今回の題材『松浦宮物語』を話題にし始めようと思います
しかし、しょっぱなから、すっごく地味なコトを話題にさせて下さい
この作品
「何時代にできた物語」
と聞かれるのが一番困る……
というハナシ
え、そこから
と思いました 自分でもそう思います
でもでも
公演のパンフレットとかで説明するときに
すごく困るんです(地味)
だってこの作品……すっごく微妙な時期にできたから
『松浦宮物語』は、『無名草子』に
「定家少将の作ったの」
と出てくるので、これがヒントになります
藤原定家さんが少将だったのは……
1189~1202年です
といっても、『無名草子』ができた時点で少将だったってだけで
『松浦宮物語』自体は少将になる前に書いたと考えたっていいわけです
でも、まぁ、何はともあれ
1180年代~1200年ちょい
ってことなのですが
……これ、何時代よ
ってハナシです
平安時代なの 鎌倉時代なの
……というか……鎌倉時代って何なのよ です
鎌倉時代を何年からスタートと考えるかって、ほんと微妙です
つまり、何をもって
鎌倉幕府ができあがった年
と判断するかなのです……
以前は1192年(頼朝様が征夷大将軍になった年)
が基準でしたが、解釈によって
1185年(守護・地頭を置いて全国を支配するのが可能になった年)
1190年(頼朝様が右大将になったり諸々の警察権をゲットしたりした年)
なんかも有力で
1185年説を採っている教科書も最近は多いというのも有名なハナシ
しょーがないですよね
創立記念日とかあるわけじゃないし……
ということで
鎌倉幕府ができるグレーゾーンと
『松浦宮物語』ができるグレーゾーンが
うっかり重なっているので
平安時代とも鎌倉時代とも言えないのです……
ま、和歌史の世界では
このあたりはもう「中世」の扱いなんですけれどね
だから『松浦宮物語』も「中世王朝物語」に分類しちゃうんですけれど
しかし、「何時代の作品」と聞かれると
本当に、困るんです……