『うつほ物語』の良岑行正さんのハナシ
誘拐されて唐に渡ってしまったヒト
……ということを紹介しましたが
この設定、面白いけれどガッカリです
『うつほ物語』というのは、そもそも
清原俊蔭さんというヒトが、遣唐使に選ばれて
唐に渡るぞ と思ったら
船が難破しちゃって、ひとりでナゾの国にさまよう
ってトコロから始まるんです
物語の最初の主人公が
目指して、そして、たどりつけなかった場所が、唐
ということになっているんです
それなのに、行正……
誘拐、というまさかの展開で
あっさり唐に渡れちゃったんですよね、このヒト
俊蔭の大冒険を読んできた我々読者には
なんかガッカリですよ
とはいえ
歴史上、遣唐使船って
さんざん漂流だの難破だのをしているのですが
唐や新羅のヒトたちは船でさかんに日本に来ていたらしいです
……つまり日本の船は残念な出来だったんだというハナシ
だから、そういう歴史的背景から考えてみても
遣唐使で唐に行こうとした俊蔭さんが失敗して
唐のヒトに誘拐された行正さんがあっさり唐に行く
って、まぁ、なるほど納得の設定でもあるんですよねー
それから、俊蔭さんの遣唐使は
歴史上、最後になった遣唐使と設定が似ています
だから物語の設定上も
俊蔭さんは最後の遣唐使なんじゃないかとも言われています
そうなると、新しく帰国子女キャラ()を出すには
誘拐って設定でもないと無理なんですよねー
なんというか、行正さんって
物語の外側と内側に時間の両方に
影響されて生まれたキャラなんだなぁと思います