さてさて
死亡フラグは通盛さんにだけ立っていたわけではないよ
というハナシ
……まぁ、『平家物語』好きには有名なエピソードなのですが
通盛さんの奥さん
あの能登殿に叱られて追い返されたヒトですが
……入水自殺しちゃうんですよ
もう、なんか、ほんと
『平家物語』ってこのへんから涙ナシに読めなくなってきますよ
ちなみに
この奥さんというのは藤原憲方さんのお嬢さん
「小宰相」というお名前で上西門院さまに仕えていた方です
（当時はお仕事に出る女性は仕事用の名前を使います）
上西門院さまというのは、後白河院のお姉さま
このヒト自身がかなりの美女だったそうですが
通盛さんの奥さんである小宰相さんは
『平家物語』では宮中一の美女と書かれています
で、通盛さんは小宰相さんに３年（）に及ぶ猛アプローチをかけて
結婚していたのでした
……このあたりもなかなか胸キュンなハナシですが
次回に
閑話休題
小宰相さんが入水しちゃったというハナシ
このあたり、『平家物語』はなかなか気合の入った描き方をしています
小宰相さんが乳母に言った言葉がなかなか泣けます
ざっくり言うと
「今朝までは夫が死んだと聞いてもウソだと思っていたけれど、
暮れ方ぐらいからホントなんだわって思えてきたの
だってみんな、あのヒトが討死したって言うけれど
その後、生きて会ったというヒトがひとりもいないんだもの」
……うーん、いいセリフ
（私のざっくりした訳のせいで台無しだけれどね）
『平家物語』、やるなぁって思います
そこから小宰相さんは、通盛さんと最後に会った時のことも回想します
なんと小宰相さん、妊娠していたのです
で、通盛さんに話したら、彼は大喜びで
男がいいなとか、具合は大丈夫
とか言ってくれたとか
……そうです、問題はコレです
通盛さんと最後に会ったときって
あの、能登殿に叱られた時です
能登殿が激怒する前
通盛さんは妊娠のコトと聞いて喜びをかみしめていたんですねー
……それがふたりの最後の対面でした
って、それをさえぎっちゃった能登殿
なんてコトしてくれたんだ
まぁ、能登殿への文句はともかく
「実はあの時、こんなことを言っていました」
という形で、後からエピソードを補完していくなんて
『平家物語』、なかなか高度な技術を使うじゃないか
そして、こんな泣かせる回想をして
小宰相さんは海に身を投げてしまいます
ちなみに、遺体はいったんひきあげられたのですが
亡き通盛さんの鎧を着せてあげて海に沈めてあげたそうです