村上春樹「鏡」の思い出話
これ、高校の現代文の教科書に載っていたんですよ
で、高1のときだったか……
現代文の授業で読んで、うわ面白いと思ったのです
いまも教科書に載っているんですかね
……というか、あれはどこの出版社の教科書だったんだろう
それはともかく
その後、「鏡」を改めて講談社文庫の『カンガルー日和』で読んだのですが
そのとき、あれっ
って思ったんです
なんだか、妙な違和感が……
で、高校のときの教科書を引っ張り出してみたのですが
そりゃ違和感も当然よね、という結果
講談社文庫の『カンガルー日和』に載っている「鏡」と教科書に載っていた「鏡」
微妙に違ったんです
もともと「鏡」は連載を経て
講談社文庫『カンガルー日和』に収められたようなのですが
その後、さらに『村上春樹全作品1979~1989(5)』に収められました
で、このとき
かなりの改稿が加わったらしいのです
そして、教科書はこの『村上春樹全作品』の方から採っていたんですね
つまり講談社文庫『カンガルー日和』に入っている「鏡」が改稿前
教科書に載っていた『村上春樹全作品』に入っている「鏡」が改稿後
のものということ
いやぁー、びっくりしましたよ
で、また、その改稿がほんとになかなかの量で
もうね、主人公のキャラクターが全然違っちゃうんですよ
ちなみに
講談社文庫に載っている方は
「うん、さっきからずっとみんなの体験談を聞いてるとさ」
で始まるのですが、『村上春樹全作品』の方は
「さっきからずっとみんなの体験談を聞いてるとね」
で始まるのです
全然違うでしょ
他にもたくさんある違いをじーっと見比べてみると、かなり面白いんですよ
どういう意図で変えたんだろう
って思いますよ
……余談ですが
千野は2年間だけ国語の教員をやったことがあるのですが
そのときにこの「鏡」の2種類をプリントにして
何がどう変わったか比べてみよう
なんて授業をしたことがあります
こんなマニアックな視点から読んでみるのも楽しいですよ
ハルキストの皆さんは、ぜひ