忠こそクンのハナシ、(とりあえず)最終章
千蔭さんは、継母の甥の祐宗というオトコから
「忠こそが、『千蔭さんが国家転覆を謀っています』って密告したらしいよ
」
(もちろん大ウソ)
を聞いて、そりゃまあびっくりします
でも
やっぱり忠こそクンを溺愛しているので……
「忠こそは大事な息子だから、この件で私は殺されたって構わない」
とまで言います
でもやっぱり芽生えてしまった疑惑が消せないもので
千蔭さんは、帰宅した忠こそくんに向かって
「私はお前を愛しているのだが……お前は違うみたいだねそんなことを聞いたものだから、もうお前を愛してやれそうにないよ
」
と、びみょーーーに、遠まわしに言います
忠こそクン、これに大いにショックを受けます
なんでなんでそんなこと言うのお父さん
って、ショックでショックで、お部屋に引きこもってしまいます
……って、忠こそクン、メンタル弱っ
そして引きこもり続けるのですが
千蔭さんは千蔭さんで
忠こそクンの姿が見えないのは、宮中にいるからだと思い込みます
お家にいるのに
継母の陰謀にすっかり乗せられた忠こそクン
……いや、ただただメンタルの弱さによる自滅な気もしますが
シンデレラだったら王子様が
『落窪物語』だったらドS貴公子(藤原道頼さま)が
迎えに来てくれるところですが
忠こそクンにはそんなステキなお迎えはありません
引きこもり5日目
忠こそクンの耳に聞こえてきたのは、山伏が呪文を唱える声でした
これだ
と思ってしまう忠こそクン……
「ボクを弟子にしてください」
ということで、忠こそクン、鞍馬山で出家してしまったのでした
ちなみに
千蔭さんが忠こそクンの家出を知ったのは、なんと20日後
大人気美少年の失踪ですから宮中でも大騒ぎになってしまいます
帝まで心配して、千蔭さんに事情を聞いてきます
千蔭さんが帝に今までのことを話すと……
なぜだかこの帝、尋常じゃなく察しが良くて
「それってもしかして……キミの後妻のせいじゃないかね」
と言います
スゴイよ帝カンがいいにもほどがある
というかどんだけ事情通なんだ
ということで、千蔭さんは継母と縁を切り
千蔭さんに貢ぎまくっていた継母は落ちぶれ
千蔭さんはヒキコモリ生活に入り
忠こそクンには会えないまま、恋しく思いながら、亡くなってしまいます
……なんて、残念な話
誰も幸せになりません……
でもこの近代小説にも負けない不条理感、面白いと思います