……で、昨日のハナシの続き
「かきつばた」でアイウエオ作文した和歌を詠め
というムチャ振りをされた『伊勢物語』の主人公
こんな和歌を詠みました
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
たびをしぞ思ふ
ねなっているでしょ
イミは……、
「からころも(唐衣)」を着ていて、くたっとなったカンジの、
そういう慣れきった仲のヨメが待っているからさ、
はるばる来ちゃった、この旅を、
……まぁ、思うこともあるわけさ
ということ
しかもこれ……、
「からころも(唐衣)き(着)つつ」に始まって……、
「なれ」「つま(褄)」「張る」という、着物関係の言葉を掛けて、
全体のイメージを統一しているのです
(こういうテクニックを「縁語(えんご)」と言います
ちなみにアイウエオ作文的なテクニックは「折句(おりく)」と言います)
……この人、天才じゃないですか
凄すぎて……ちょっとイヤミかって思うぐらいだ……
で、こんなのを主人公が詠んでしまったものだから、
ムチャ振りをしたお友達は、感動して泣いちゃいます
しかもその涙で、お弁当の乾飯(「かれいい」。携帯用のドライご飯です)がふやけちゃいます
(お水で戻す必要がなくなって良かったのかも
ちょっと塩味つきそうだし)
ちなみにこの和歌、
もとは『古今和歌集』に入っている在原業平さんの作です
(だから業平さんは関東まで来たとか思われている)
『古今和歌集』でも、『伊勢物語』と同じで東への旅の途中で三河の八橋で詠んだよーってなっています
でも、業平さんも一応貴族だし……そんなヒマあったのかなぁ
「旅したという設定」で作ったんじゃないかともとれます
でもでも
業平さんの作だというのはきっと本当だから
このヒト、本当に天才だなぁと思います