私の好きな小説家の一人です。
初めて貫井徳郎さんの作品を読んだのは、
前回の記事にも登場した珈琲屋でバイトしてた頃の店長からの勧めで、
1993年「慟哭」です。
読み終わった後の衝撃は、それまで読んできた本の中で体験できなかったレベルでした。
衝撃というか、読者への良い意味での裏切りというか、
「読書」という趣味の中では収まりきれないほど、私の記憶から消えないショックのようなものを残しました。
人物の思考、感情の流れを、ここまで滑らかに言葉だけで表現するテクニックは、
タネのないマジックのようで、読む方を気づかないうちに騙していきます。
すごいです。
その後、貫井さんの他の作品に手をつけたかったのですが、また違った勇気が必要でした。
ビジュアルな怖さって本には無いですよね。
でも読むだけでこんなに心臓をバクバクさせて、手が冷たくなって、恐怖を感じさせる目に見えない映像が脳内に映し出されるんです。
「慟哭」はホラーのジャンルではありませんが、暗闇をにじりにじりと手探りで歩く恐怖を感じました。
20代前半で読んだ私には、再読することもできませんでした。
そして昨年、私生活のあらゆるストレスでパンクしそうだった時に、
書店で貫井さんの「愚行録」を購入しました。
自分でも意外でした。こういう自分の心理状況の時に、貫井さんの作品を読む勇気が出るのかと。。。
やけ食いならぬ、やけ読みって奴かもしれません。
何日かかけて読みました。
再び貫井トラップ炸裂の内容で、もう怖いを通り越して爽快感!!
現在は「空白の叫び上巻」を読み終わり、「下巻」を図書館で借りてきたところです。
この作品も、もうね、やっぱりね、すごい 笑。
3人の同学年の男子の主人公で成り立っているのですが、全く性格も思考も違う人物の心理を、どうしてこんなにも鋭く、濃い輪郭で表現できるんだろう。
いかがでしょうか、読んで見たくなるでしょ?
これからどんどん暑い日が続きますよね。
読書で涼みましょう。