もうひとつ


昔のピアノの話を。

ピアノを音大まで続けてきた人にとって、
厳しい先生に出会うことは

特別なことではないのかもしれません。



今振り返っても、
先生が悪かったとは思っていません。
むしろ、

音楽に向かう姿勢や

準備することの大切さ

当たり前のことを

当たり前にやり続ける難しさ


たくさん教えてもらいました。

それでも当時の私は、
本番が近づくたびに
とても怖くなっていました。

失敗したらどうしよう。
うまく弾けなかったら、
自分が許せない。

「私はこんなはずじゃない」


そんな気持ちを、
いつも心のどこかで抱えていたように思います。

だから、
練習するしかなかった。

まだ足りない。
もっとやらなきゃ。

そうやって、
いちばん厳しい言葉を
自分自身に向けていたのは、
私だったのかもしれません。

今思うと、
ピアノが怖くなった理由は

失敗そのものではなく、

失敗した自分を

受け止められなかったことだったのかな、と。



今は、
完璧じゃなくてもいい。
思うように弾けない日があってもいい。

ただ、
音を出したいと思える気持ちと
一緒にいられたら。


今は、やっと
自分を追い立てずに

生きられるようになりました。

毎日深く深呼吸ができる

そんな当たり前が幸せだと思えるなんて。


そう思いたくても思えなかった時間が長すぎた