施設に入った母の面会に父と行ってきた。

あいかわらず施設側は

「まだコロナの影響でガラス越しの面会になります」

と時代錯誤なことを言っていたが

「ハイハイ」と受け流す。


(実際には食事を摂らせるという目的で行くので部屋に入る)


あいかわらず、ベッドに横になって

見てるんだか見てないんだか

わからないけどテレビを見ていた。


「オヤツ持ってきたよー」

食欲がなく、痩せてしまった母に、

好きなもの、食べられそうなものをいろいろ差し入れ。

それを一緒に食べながら

父とたわいのないおしゃべり。

と言っても、父があれこれこの1週間のできごとを話し、

それに相槌をうつ母、という感じで。


聞くと、夜がさびしいと言う。

だから「家に帰りたい」と。

でも「お父さんは人工透析してて、今はまだ腰の圧迫骨折が完治してないから、歩けないお母さんを家に連れて帰れないんだよ」

「自分のこと、ひとりでできないでしょ、歩けないでしょ、だから家では生活できないよ」

と、毎回毎回説明して、今回、やっと

「そうか…」

と納得した。


(前回までは、なんで⁈歩けるよ!さ、帰ろう!の繰り返しだった)


施設からの帰り道はいつも気分が暗くなる。

父が落ち込んでいるのがわかるからだ。

母が施設に入ってしまって、

父も元気がなくなってた。


理由はわかるけれど。

わかるけれど、ひとりで2人の面倒なんて

みられない。

母が認知症ではなく、パーキンソン病だけならまだ自宅介護は可能かもしれない。


でも認知症でもともと

「家に娘がいるんだから、家事は娘がやって当たり前」という考えの人との同居は、かなり辛いものがある。

肉体的な限界より、精神のほうがおかしくなる。



「そんなに離れてるのが辛いんなら、一緒に施設に入れば?」

という言葉を、いつも飲み込む。