今日も掃除をしていて、

母が定期購読していた短歌の雑誌を見つける。

「ああ、そうだ、もう読まないから解約の連絡をしなければ…」

と、掃除の手を止めて電話する。

(思い出したときにやらないと、後回しになる)


そのときに、思った。


両親は、何も終活をしていないんだな、と。

こういう親が多いんだろうな、と。

そりゃそうだ。

だって、自分たちの親はこんなに長生きじゃなかったろうし、

実家は長男が継いでたし、親の面倒も継いだ子どもがするのが当たり前だったから。


そして

「自分はボケない」

と思っていたに違いない。

事実、娘の私も、母はボケない、と思っていた。


洋裁をし、短歌を読み、レザークラフトもやり、演劇サークル活動もしていた。スイミングスクールにも通っていた。

だからボケない。

と思っていた。


でも認知症になった。


でも認知症は、病気と違って本人に自覚がない。

いや、病院に行ったときは自覚があるのかもしれないけれど、それを覚えていられない。

だから

施設に入所して2カ月も経つのに

「なんで私はここにいるんですか?」

と言うし

「さ、家に帰ろう」

と言うし、

実際、荷物をまとめて

「お世話になりました」

と言って施設をあとにしようとするらしい。


で。

今日も掃除をしていて見つけた

短歌雑誌の編集部に電話して

「本人が施設に入ったので、解約します」

と解約手続きをお願いする。


そのとき、ゾッとしたのが

私の死後だ。

今は全てがパソコンの中にある。

ネット銀行や、Amazonや、ズームや、自分のホームページなど。


自分もボケる、いつかは。

そう思っていたほうがいい。

そしてそうなったときにどうするか、

その年齢を、ある程度自分で決めておいたほうがいいのではないかと

痛感した。


ひとりっ子の私はこれから

両親のこと、墓のこと、実家のこと、

これを全てひとりでやらなければいけない。


何もかも、

現役のままの状態で年老いた

両親の姿をみるにつけ、

自分がボケる前に

いろんなことを

断捨離していかないとな…と思った。