認知症は怒ってはいけない。


わかっちゃいるけど…。


基本、ウチの夕食は和食なので

どうしてもお皿の数が多くなる。


買ってきたお惣菜は

母が皿に出すので

それは好きにさせている。


が。

その、皿に出すときに使った箸で

そのままそこから食べてしまうので

それを見た父が

声を荒げるんである。


「なんで取り箸でそのまま食べるんだ!」

「みんなで食べるのに、なんで直に食べるんだ!」


だからさぁ、認知症だから

わからなくなってるんだってば!


と言いたいところだけど、

母を目の前にしては言えないし。


食卓には

朝、父が茹でた素麺があった。


母が

「ご飯が茶碗に一杯ぶんしかないけど」

と言うから

「素麺があるからいいんじゃない?」

と言いながら炊飯器を見たら

水に浸かった状態のお米が…。


「えっ、ご飯といだの?」

「…」

といでご飯をセットしたことを忘れていたようだ。


研いでセットしたあと、必ず30分ぐらい置くから

それで忘れてしまうんである。


冬ならそのまま置いておいてもいいけど

真夏のこの暑さ。

そのまま朝まで置くのも…

と思って、仕方ないからそのまま炊いた。


こうやって、

いつもいつも炊きたてではない

ご飯を食べるハメになる。


残ったおかずも

全部ひとつの皿にまとめてしまうから

もう翌日には

食べる気もしなくなり…。


見つからないようにしながら

廃棄する。


とにかく、

食べ方がすごく汚くなってきた。

食べることは好きだから

目の前にあるものには

何でも端をつける。

でも中途半端に残す。


そしてそれを見た父がまた怒る。


その状態が嫌なら、

食事の支度も後片付けも

全て私がすればいい。


でも

「認知症でもできることはあります。例えば…」

と書いてある本を読むと、

できること(ご飯を炊くとか、お惣菜を皿に出すとか)は

やらせた方がいいというし、

少しでもやってくれた方が

私の気持ちは落ち着くし、

できる事はなるべく

やってほしいんである。


私はもう

「認知症なんだから…」とあきらめてるけど

父はまだまだ

認めたくないんだろうね…。