(幕前に乞食の女、登場)
「ああ、ああ、ひもじい!ひもじい!あたしゃ人よりたくさん食べるのに、人より満足にありつけない!そこのしゃれたコートを着た旦那様、あたくしめに一切れのパンを!」
(コート姿の紳士、乞食女を一瞥すると、銀貨を投げ与える。)
「ふん。これであたたかいキノコスープでも買いなさい。ただし、あまりわしに近寄らんでくれ。臭くてたまらん。うーん!じっさいこれはヒドい臭いだ!!」
(乞食女、銀貨を拾い上げると、すぐそばの屋台に駆け寄り、何やら買っている。)
「おい!そこの牛飼い!あの女はいつもここにいるのか?」
(牛飼いの老人、ぎくりとしながら答える)
「へえ。旦那様。あの女はcaoとかいう名前の、身分も性格もいやしい女です。ここいらで毎晩物乞いをしてるんでさぁ。おまけにボロ布をどこかから集めてきては、体に巻きつけておしゃれのつもりで得意げになってるんでさぁ。」
(乞食女、買ってきたものを道端で食べ始める)
「ああ!おいちい!おいちい!。。。もぐもぐ。。。久しぶりに。。。もぐもぐ。。。こんなうまいもん。。。んっぐんぐ。。。ありつけたわぁ。。。もぐもぐ。。。」
(コート姿の紳士、それを見て驚く)
「ややや!この乞食め!スープを買えと言ったのにベトベトのお菓子ばっかり買っておる!貧しいうえにオツムも足りないようだ。それにこのチンチクリンの体型は一体なんだ。。!?まるで起き上がりコボシじゃないか!」
(乞食の女、お菓子を食べ終えると、指をべろべろと舐めながら紳士の足元に近寄ってくる)
「旦那様、この哀れな乞食めにお恵み下さった旦那様!せめてお名前だけでもお聞かせくださいまし。。。」
(紳士、いやいやながらも答える。)
「ふふん。私はこのすぐ先のワーグナー邸に住むyukko.aokiというものだ。しかしお前ごとき乞食がやすやすと口を利ける身分ではないのだ。とっととどっかへ行きたまえ!」
(紳士、乞食女に強烈な蹴りをお見舞いする。)
「ぎゃおぎゃお!!!」
(乞食女、そのだんごのような体を転がしながら下手へはける。入れ替わりに町娘のtommy、踊りながら登場)
「大変よ~~~♪大変よ~~~♪ササッサ谷に~~~♪一つ目のオバケが~~~♪
あ~~~ら~~~わ~~~れ~~~た~~~♪」
(tommyの後ろに町娘ダンサーズも現れ、しばしダンスを踊る)
「なんだって!?ササッサ谷にまた例の怪物が。。。」
(紳士yukko、なにやら考え込みながら上手へはける。)
舞台、暗転。歌声がフェードアウトしていく。
第一話 完
