私の生徒さんに84歳の男性がいらっしゃいます。

スタンダードを教えているのですが、目線がどうしても床に落ちてしまいます。
何回練習しても戻ってしまうので、どうしたら良いかな~とずっと考えてました。

先日何気なく「顎が上がって良いからもう少し上を向いて踊りましょう!」とアドバイスしてみたら、かなりびっくりされた様子。

「良いんですか?先生? 私が軍隊にいた頃は、顎を引け、目線は帽子のヒサシのラインを上目使いで見ろ、と訓練されて、うっかり上を向いたら竹刀で殴られましてね。
だから今でも絶対守ってしまうんです。」

これには私の方がびっくりしました。私みたいに戦争を知らない世代には、想像が難しいですが、軍隊の事を色々お話して下さいました。

志願兵だった自分はまだよかったけれど、徴兵で行った若者は古参兵の回りで偉そうにしている下級兵の虐めの的だった。
しょっちゅう竹刀で殴られてリンチの様だった。

とか

自分のいた特攻隊は、飛行機の操縦の上手い下手に関わらず、とにかく片道の燃料だけ積んで突っ込んで行った。

とか

特攻隊は白米で、それ以外は玄米しか食べられなかった。(当時は現在の玄米とは程遠いもので、硬くてぼそぼそで消化も困難だったらしいです)

とか

軍隊に入らなくても、小学生の頃から学校は、戦争の為の訓練をする所だった。

等など…

テレビや本で知識としては知っていた事も、実際に体験した方から聞くと現実味があります…。

彼は若い頃に受けた訓練で、84歳という年齢になっても身体が丈夫なのでしょうか?とてもお元気です。

戦争のない平和な日本に生まれたのはとても幸せですが、自分を含め、日本人の体力はどんどん落ちてるのでは…?と不安になってしまいました。