
学生時代に日本古典文学を学んできて、平安朝大好き、
夢枕漠の「陰陽師」を楽しく読んだ原作ファンなので
かなり辛口です。
一言で言えば、過去にドラマ化・映画化された「陰陽師」の
キャストとスタッフを変えた焼き直し。
登場人物の名前が一部変わっただけで、脚本はおおよそ
以前のドラマや映画と同じストーリー。
過去に実写化されたドラマでは、晴明(稲垣吾郎)、博雅(杉本哲太)
映画では、晴明(野村萬斎)、博雅(伊藤英明)が演じた。
そして、史実を劣悪に変える脚色にひどくゲンナリした。
安倍晴明も源博正も、藤原兼家(胴体を消された人)と同世代。
天皇が村上天皇、後の冷泉天皇が東宮の時代だから、
晴明、博雅、兼家は40歳ぐらいと考えて、息子の道長は
20~25歳ぐらいのはずで。
前の映画もそうだけど、どうも役者の年齢層が腑に落ちない。
最も、晴明は83歳と当時では考えられないぐらい長生きして
いるから、道長が摂政関白として活躍する時代にも関わる
みたいだけれど、それは晴明がもっと年老いての頃。
そして、平安時代に起こった安和の変、寛和の変に関わって、
その後の道長の時代に藤原摂関家の礎をつくった政治的策略家
兼家をあんなにアホに描くなんて、信じられない・・・
ひどすぎる。
また、道が塞がれた場面で、家来や供の者がどかすならわかる
けど、道の往来で公卿自ら「わらわは~である。道を開けい」
などとは言わない。
ドラマの雰囲気は悪くなかった。
平安朝という時代や調度品、衣装、当時の怨霊や物の怪が漂う
怪しい雰囲気、怨霊になった悲しい経緯があったりと、
そのあたりは良かった。
内裏や邸宅、京の街並みが少し軽く見えたから、もう少し場面を
暗くして、おどろおどろしく、怪しくてもいいぐらいだった。
描かれる人物像。
ちなみに、晴明と博雅は、ホームズとワトソンのような役回り。
晴明は原作のイメージどおり飄々としていて、さほど違和感は
なかった。
顔立ちが中性的な美貌ではないかな、ぐらい。
市川染五郎さんは、歌舞伎の世界に長年、身を置き、着物を
着慣れているし、所作が滑らかで、不自然なところがない。
文句なしに優雅に晴明を演じていた。
博雅は、原作では実直で武骨な不器用な人物。美男子ではない。
↑なぜ光一くんをキャスティング?
内面は似ているような気もするけど、見た目は博雅役が合ってない。
そもそも、ファンでなければ、光一くんの性格を知らないし。
あんなに情欲に駆られる行動するのも、怨霊に魅了されて
しまったから、と考えられなくもないか。
横笛を習って、笛を吹く場面では実際光一くんが吹いていた
ようだし、笛を吹く姿は美しかった。
それに、殺陣は素晴らしかった。
相手役を演じた和田聰宏さんも良かったと思う。
光一くん、王子キャラで来ているから、和装はどうかと
思ったら、上品で似合っていたね。
このあたり、東山さん→光一くん→タッキーと続く、正統路線
なんだね。
あの時代と原作が好きだから見たけど、視聴率はどうだろうなぁ。





