これまで数多くの主演作品を演じた堂本剛さんですが、
堂本剛といえば、金田一。
金田一少年といえば堂本剛。
という印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
見ていない、若い世代は、別として。
原作からの変更は多かったようですが、初代「金田一少年の事件簿」は一つのドラマとして本当に面白かったですね。
おどろおどろしい演出はドラマを盛り上げたし、
主人公はじめちゃんの、普段はおバカで女の子に鼻の下を伸ばす
ような、
それでいて、事件に直面すると、キリッとして、持ち前の推理力を発揮して明快に事件を解決していくキャラも最高でした。
剛さんのはじめちゃんが一番原作に近いと思います。
ヒロイン美雪との関係も可愛らしく、剣持警部や、他のキャラ
との掛け合いもテンポよく楽しめました。
なにより“はじめちゃん“が魅力的で、推理を展開してゆき、
「あんただよ、○○さん」と犯人を示す時の鋭い眼つき、
続いて犯人を説得するシーンや、犯人に同情し泣くシーンなどは
特に印象深いです。
事件の怖さや切なさなどの雰囲気もリアルに表現しつつ、
はじめちゃんのキャラを見事に再現していた堂本剛版 初代「金田一少年の事件簿」は今でも人気がある所以でしょうね。
Wikiによると、第1シーズンでは、平均視聴率23.9%
第2シーズンでは、平均視聴率22.4%を記録。
その後の映画版では、 国内邦画興収ランキング1位を記録したそうです。
金田一少年のはじめちゃんをはじめ、「若葉のころ」の武司、
「未満都市」のタケル、「青の時代」のリュウ、いずれも
あまりに役に入り込んではまっていて、見る人に違和感を
与えなかった為に、堂本剛という人自身が、ドラマの役さながら
コミカルに明るく、正義感のある精悍な少年だと世間に錯覚させ、
アイドル堂本剛が一人歩きしてしまい、
その結果、剛さんを苦しめたというのは、何とも皮肉です。
実際、あの頃の剛さんの、圧倒的なアイドルのカリスマ性、オーラはすごかった。
本人が言うように、本来の自分とは違うにも関わらず、
望まれたアイドル像を演じてみせていたのなら、すごいことです。
剛さんに理想のアイドルを演じ続ける強靭な精神力があったら、
今現在の活躍の方向も変わっていただろうと思う反面、
そんな感受性の強い繊細な剛さんだから、音楽も役者としての才能も
持ち合わせるわけで、長く続けていくのは、やはり無理だったでしょうね。
脱線しましたが、初代金田一の好成績により、その後の日テレ土曜9時をジャニーズ枠に定着させた剛さんの功績は大きいです。
音楽活動だけでなく、役者としても、正にパイオニアだったんですね。
それ以降も、松本潤さん、亀梨和也さん、山田涼介さん主演で
「金田一少年の事件簿」をドラマ化していますが、
正直、あまり面白くない。
原作や前作抜きに、初めて放送されていたら、一つのドラマとして、
普通に面白かったんじゃないか、と思います。
演じている人も違うし、昔と違って、放送規制もあって、
あまり際どい演出もできず、全体的に事件そのものも軽く見えて
しまう作りなので、あまり引き込まれないんですよね。
初代金田一バージョンでやったら、もっと面白くなりそうなのに。
初代金田一を手掛けた堤監督は、「人間・失格」や「セカンド・チャンス」の演技を見て、
剛さんにオファーしたそうです。
剛さんが受けてくれなかったら、映像化は断念した、というほどです。
堤監督も遅い連ドラ監督デビュー作ながら、自らの経験と技量の全てを注ぎ込んだ集大成だったようですし、それも剛君の存在がそうさせたといいます。
剛さんも当時は忙しすぎて、10代の頃の記憶はほとんどないとか。
ドラマ「金田一少年の事件簿」にかかわる、一人ひとりの努力の結晶が、作品をより良いものへと高めたのだろうと思います。