ミレディーの心理テスト。三銃士の心理学2 | 九段下・渋谷・池袋・新宿・品川・上野・秋葉原★心療内科ゆうメンタルクリニック

ミレディーの心理テスト。三銃士の心理学2

こんばんは。ゆうきゆうです。
今回はメルマガ・セクシー心理学よりお届けいたします。

◆ 前回までのあらすじ。

アレクサンドル・デュマの大長編「三銃士」。

主人公である、勇気と正義感あふれる若者、ダルタニャンは、敵である悪女ミ
レディーにベタ惚れ。

しかしミレディーは、ワルド伯爵という人物が好きで、ダルタニャンには興味
ナシ。
というかまったく眼中にない。

ダルタニャンは持ち前の正義感で、彼女に逆恨み。
正義感からミレディーの家のメイドを抱き込み、やはり正義感から「ワルド伯
爵になりすました手紙」を送る。

そうとも知らない悪女ミレディーの運命は!?


本当にどっちが正義なのか分かりません。


◆ はじめての、ミレディー。

「ついに今夜はあのワルド伯爵さまと、はじめてのデート!」

その日、ミレディーは朝からドキドキしっぱなし。

「でも伯爵さま、最初のデートが私の家でなんて…。その上、暗闇にしてほし
いなんて…。あぁもう、伯爵さまったらぁ…♪」

悪女でも、好きな男の前では恋する乙女です。

日中に遊びに来たダルタニャンは、その姿を見て、笑いが隠せません。
本当に趣味の悪い男です。

さぁ、そしてとうとう夜。

ダルタニャンは、約束の時間より1時間以上早く来てしまいました。
何より待ちきれなかったのは彼だったようです。少しは落ち着け。

「あぁ…! どれだけあなたにお会いしたかったか…!」

歓喜の声をあげながら、その人影に駆け寄るミレディー。
暗闇なので、それが昼間に来た男だとは分かりません。

二人はギュッと抱き合います。

しかし、ダルタニャンの心は複雑。

彼女を抱きしめるたびに、「愛されているのは自分ではない」ということを強
く感じ、少しずつ、いたたまれなくなってきました。

当然といえば当然です。
行動する前に気づくべきだったと思います。

そして彼は、せっかくのチャンスではありますが、そのまま帰ることにしまし
た。

「な、なぜ帰ってしまうんですの?」

「いえ、急用がありまして」

「…よ、夜中に…? で、では、お会いしたしるしに、これを…」

そして彼女は、ダルタニャンに、自分の大切な指輪を与えます。
彼はそれを受け取り、闇夜に消えていきました。

◆ 悩みの、ミレディー。

次の日から、ミレディーは悩み苦しみます。

愛しい男が、ついに私と二人きりで会ってくれた。
しかし、すぐに去ってしまった。
そしてそれ以降、まったく音信不通になってしまった…。

かわいそうです。

ダルタニャンはダルタニャンで面白くありません。

彼女を自分のものにしたい。
その気持ちのあまり、つい彼女をダマし、そういう意味では手玉に取りました。

しかし残るのは、さびしさだけです。


そう。
ここで彼は、気づくのです。

「ワルド伯爵になりすましても、むなしいだけだ!
 俺は自分のことを、ダルタニャンのまま、愛して欲しいんだ…!」


あぁ、何て男らしい! 何て正々堂々!
さぁ、ここで彼は、どうしたと思いますでしょうか?




「今までだましていてごめん」と謝った、と思った方はまだまだ甘い。


彼は、こう手紙に書きました。


「こんにちは。ワルド伯爵です。
突然ですが、僕には相手をしなければいけない女が、他にもたくさんいます。
いつかあなたの番になったら、また連絡します。さようなら」


………。

そう。
ワルド伯爵への恋が冷めれば、自分へ気持ちが傾くと思ったのです。


悪魔でしょうか。この男は。
彼のこの行動が分かった方は、彼と同じくらいの鬼畜です。

ていうか、文面がまたエグい。
「君をキライになった」とかの方が、まだマシでした。

言うまでもありませんが、子供向けの「三銃士」では、こういうシーンはカッ
トされています。収録されていたら、マネする子供が続出するからだと思いま
す。


◆ 衝撃の、ミレディー。

「あぁっ! ついに手紙が!」

喜びを隠せない顔で、手紙を読むミレディー。

しかし、彼女の表情は少しずつ固くなります。
あまりの内容に、口から言葉が出てきません。

「………………」

「大丈夫ですか? ご主人さま?」

ニセの手紙を届けたメイドのケティは、心配な顔をします。
さすがにそこまでヒドいことが書いてあるとは知らないようです。

ミレディーは叫びました。


「これは、本当にワルド伯爵からの手紙なの…!?」


ギクッとするケティ。
女主人と愛する男の間で、板挟みです。

「は、はい…。確かにワルド伯爵さまからの…」

「ウソよ! 男が女にこんな手紙を書くものですか!」


鋭い。
確かにそうです。当たり前です。

どんな男も、基本的に別れ際は穏便に済まそうとするものです。
ここまで嫌われる前提の内容は書きません。



その瞬間、ミレディーはハッとします。


「…!! まさか…! いや、そんな…!」






ここで、問題です。

いま、ミレディーは何かに「気がつきました」。

それは何でしょうか?


二択でお選び下さい。
----------------------------------------------------------------------
A 「ワルド伯爵が、自分をからかったのだと気がついた」

B 「全部、ダルタニャンのしわざだと気がついた」
----------------------------------------------------------------------












選びましたか?


おそらく大半の方が、

B 「全部、ダルタニャンのしわざだと気がついた」

を選んだはず。

実はこれを選んだ人は、無意識に「自分に、ここまでマイナスなできごとが起
こるはずがない」と考えている人です。
ある意味、心のどこかに自信がある証拠です。

また同時に「悪巧みは必ずバレる」と考えている可能性もあり、総じて「世界
は平和で安定している」と考えています。

だから、ミレディーも同じように考えた、と思ったわけです。


しかし。

「そういうことも起こるかもしれない…」
「自分にとって最悪なできごとだって、ありえるかもしれない…」

という不安を抱えている人は、それを選ぶことはできません。


ミレディーも、そうでした。
裏切りと失望。それを繰り返したからこそ、「悪女」としての今があるのかも
しれません。

大好きだったワルド伯爵に、からかわれた。裏切られた。

彼女はそう確信したのです。


◆ 突然の、ミレディー。

次の日。
ダルタニャンは、突然にミレディーの家に誘われました。

「ど、どうしたんですか? 急に…!」

驚きつつも瞬時に参上するダルタニャン。
すると彼女は、彼を見つめながら言いました。

「ダルタニャンさん、恋人はいらっしゃるんですか?」

思わずドキッとするダルタニャン。

「…い、いません。私の気持ちは、あなたのためだけにあります」

ある意味、本音です。

「そうですか? 嬉しい…!」

今までの冷たさがウソのように、ミレディーは熱い眼差しで見つめてきます。
今なら、抱きしめても拒否をされないんじゃないか。
そんな雰囲気です。

するとミレディーは、嬉しそうに言いました。

「実は、私、ある人に裏切られたんです」

やった! 自分の計画が成功した!
ダルタニャンは瞬時にそう思います。

さびしい女は、落ちやすい。

彼はそのことを思いだし、勝利を確信します。

「だから、あの人を、忘れさせて…!」

そんなセリフが聞こえるようでした。

彼女は、言葉を続けます。


「だから、あの人を」

「はい! 今すぐにでも…」


するとミレディーは、にこやかに微笑みながら、言いました。










「殺して」






どうするダルタニャン!?(自業自得)

どうなるワルド伯爵!?(何もしてない)


ミレディーをからめた三角関係(実は二角)の結末は!?

最終話、「裸のミレディー」をお待ち下さい!


(つづく)




そしてここまで来てくださって本当にありがとうございます。
ちょっとしたウラ話をお届けします。


実は原著では、この部分にデュマ先生からの「注釈」があります。
それは、こんな文面。

「ダルタニャンは、ニセ手紙を書いただけでなく、女の弱みにつけこもうとしている。
これを読んでいるあなたは、これを破廉恥な行為だと思うかもしれない。」

分かってるんですね。
先生もそう思ってるんですね。


「しかし当時では、この程度の行為は当然のことだったのだ」

言い訳です。言い訳をしています。
さすがにダルタニャンに感情移入されなくなると思ったのでしょうか。

「誰もこの程度のことを気にしたり、責めたりする人間はいなかった」

先生、ミレディーの反応を見ていると、決してそうは思えません。

さらに先生は書きます。

「またダルタニャンにしてみれば、ミレディーが今までにどれだけ男をだまし、手玉に取ったかを聞かされていたので、これしきのことは悪いとは思えなかった」

ミレディーにはそうされてもしかたない理由がある、ということでしょうか。

そこまでしてダルタニャンを守らなくても。


いつの時代も作家は、自分のどうしても書きたいシーンと、それによって読者にどう思われるか、という間で悩むのかもしれません。

バストバスト書きつつも必死に言い訳をしている自分は、一方的に先生に共感しています。


思い切り先生に迷惑がられそうに感じつつも、みなさまここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。



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