愛の無知。前編。 | 九段下・渋谷・池袋・新宿・品川・上野・秋葉原★心療内科ゆうメンタルクリニック

愛の無知。前編。


こんばんは。ゆうきゆうです。
今夜もメルマガから、こんな話を。

最近電車に乗っていたら、男性二人が会話をしていました。

「そんなことも知らねーの? お前、本当に『バカの鑑』だな」

バカの鑑。

すごい単語です。

「男の鑑」「女の鑑」「人間の鑑」というような言葉はたくさんありますが、
まさか前に「バカ」が来るとは。

この言葉の組み合わせ、芸術的だな、と。
その男性を心から表彰したいと思いました。

そう思っていると、言われた方は、否定しました。

「ちげーよ! 俺、鑑じゃねーよ!」

あぁ、バカの部分は認めるんだ。

僕は心からそう思いました。

するとです。
言った方は、多少興奮したのか、さらにこう続けました。

「バカだよ! 絶対にバカの鑑だよ! バカミラーだよ!」


………。

バカミラー。

一瞬、状況を飲み込めなかったんですが。

たぶん、「ミラー=鏡」だと思っているんだろうな、と推察されました。

真のバカの鑑は、この人だ、と思いました。

うん。
こんな会話に聞き耳を立てて、一人突っ込んでる僕も、かなり同類だと思いま
す。

まさにバカの集う車両。
なんか車内が、別方向に輝いていた気がします。キラキラと。
とても素敵な光景でした。

………。
色々とやるせない気持ちを抱えつつ、今夜もセクシー心理学の世界をお届けい
たします。



◆ 現実にも、魔法はある。

現実って、ある意味、RPGなどのゲームに似たところがあります。

たとえばゲームの世界では、「火炎魔法」や「電撃魔法」などがあります。

しかし主人公がレベルアップするにつれて、そういう魔法ひとつひとつに対し
て、「防御スキル」を身につけていくことがあります。

たとえば「火炎無効」や「ファイアバリア」などの能力を得ると、火炎魔法が
効かなくなる。
「電撃無効」や「エレキバリア」という能力を得ると、電撃魔法を無効にする
ことができる。

こういう「攻撃」と「防御」。
非常にうまいシステムだと思います。


そしてこれは、現実でも同じ。

現実には、さまざまな「攻撃魔法」があります。

「誉める」
「口説く」
「誘惑する」

などのちょっと嬉しいものから、

「地位をちらつかせる」
「良心を刺激する」
「大声で怒る」
「涙を見せる」

なんてものまで…。


そして同時に、「防御魔法」もあります。

それに当たるのが、まさにこの「心理学」。


たとえば、第303号・304号『怒りのシャワートイレ』で、怒りの正体というも
のについて話しました。

「怒りは下剤で、気持ちを出した人は、実は快感」というものでした。

これを知らない場合、突然誰かに怒られたり批判されたりしたとき(=「怒り」
という魔法で攻撃された場合)に、ショックを感じ、訳も分からずおびえてし
まうでしょう。

しかし、その内容をすでに知っているあなたなら、たとえ誰かに怒られてもあ
まり傷つかず、かえって相手に歩み寄りの気持ちだって湧くはずです。

まさに、『怒り無効』という防御能力を得たのと同じです。


また第236号・第237号の『男女の時間』では、「涙の正体」と「(特に女性が)
泣くのはなぜか」について話しました。

「男性は事実、女性は感情で記憶する。そして涙は単なる感情の暴走」という
話でした。

この内容を知らない場合、相手に突然泣き出されたとき(=「涙」という魔法
で攻撃された場合)に、オロオロしてしまうかもしれません。
しかし知っていれば、その涙の理由が分かるため、比較的冷静に対応できるこ
とでしょう。

まさにこれは『涙無効』の能力です。


このように、すべての攻撃魔法には、防御魔法が存在します。

そのため、何が「攻撃魔法」で、何が「防御魔法」なのかをハッキリ知ってお
くことが、何よりビジネスや恋愛を有利に動かす方法なのです。


そして。
今回お話しするのは、この世界において、最大級ともいえる「攻撃魔法」のひ
とつです。


◆ すっごい差別は、身近にある。

あなたは現在、世界中で恐ろしい「差別」が行われていることを、ご存じでしょ
うか。

国籍?
立場?
地位?
お金?


いえいえ。

それこそが、「知識」です。


たとえば、最初の電車での「バカの鑑」の話。

そもそも彼がそう判断されたきっかけは、
「そんなことも知らないの?」でした。


この情報あふれる現代社会。

実は「何かを知らない」ということは、恐ろしいほどに分かりやすい攻撃材料
になるのです。

◆ あの人を、知らない人。

たとえば想像してみてください。

小泉首相が、

「イチローって誰?」

と、発言したとしましょう。
それも、冗談とかではなく、素で。

この瞬間、おそらくあなたの中に、ものすごい蔑みに似た感情が生まれるので
はないでしょうか。

「首相なのに、そんなことも知らないの!?」

みたいな。

実際そんな発言をしたら、ほぼすべての新聞・雑誌などのメディアが、まさに
鬼の首を取ったかのごとく、彼を攻撃するはずです。

「一国の首相が、国民を代表する英雄を知らない!」
「小泉首相、あきれた貧困知識」
「このレベルの知識で、国を動かそうというのか」

などでしょうか。
あぁ、こういう言葉って本当に無限に出てきます。


また、です。
あなたが病院にかかっていて、あるとき別の医者に変えたとします。

そんなとき、今までに飲んでいた薬の名前を話し、「何の薬か知っていますか?
」と聞いたとしましょう。

このとき、その医者が、「分からない」と言ったとします。


その瞬間、あなたはそのドクターにたいして、心の中で、
「この医者、大丈夫…?」と思うのではないでしょうか。


こういうのは、専門職に限りません。

たとえばあなたの友達が、

「十二支って、なに?」
「北海道って、どこにあるの?」

と言ったらどうでしょうか?

その人がよっぽど美形だったら「かわいいとこもあるんだなぁ」くらいに思う
かもしれませんが、たいていは、つい蔑んでしまうはずです。

「何かを知らない」というのは、恐ろしいほどに、その本人のイメージを下げ、
周りの人に強いマイナスの気持ちを起こさせるのです。

◆ 持っている人が、持ってない人を。

しかし、よく考えてみてください。

知っているか知らないか、というのは、
「知識を持っているか、いないか」というだけのこと。

頭がいいとか、悪いとか、そういう根本的なことではありません。

知識を持っている人が持っていない人を批判するというのは、まさに
「何かを持っている人が、持っていない人を批判する」のと同じ。

ある意味、

「車を持っている人が、車を持っていない人を批判する」
「マイホームを持っている人が、借家住まいの人や、ホームレスの人を批判す
る」

のと同じです。

はい。
そう考えると、何て言うんでしょう。

地味に恐い差別だと思うんですが。うん。

まぁ、でもこういうのある意味、「人より優位に立ちたい」という、人間の根
本に染みついた思考なのかもしれません。

◆ たった1つが、すべてを変える。

ただ、ちょっと考えてみましょう。

「知らない」というのは、そんなにダメなことなんでしょうか?

たとえば小泉首相がイチローを知らなくても、純粋に政治に関する能力とは関
係ないはずです。

また医者だって、すべての薬の名前を知っているわけではありません。
特に自分の専門以外の分野なら、知らないことも多くて当然です。


でも。
決してそうは考えられないのが、人間というものです。


心理学では「連合の法則」というものがあります。

1個でもいい面や悪い面が見つかると、他の部分も、すべて同じイメージで染
まってしまうことを言います。

別名、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の法則。

または、「あのグループの一人が麻薬所持で捕まると、グループ全体のイメー
ジまでなんか微妙に」の法則です。


これは、知識についても同じ。

「この程度の知識を知らないということは、この人の知的レベルは相当低いと
いうこと…? そうすると、何をやらせてもダメなのでは…!?」

そんな風に考えて、相手の評価をものすごく下げてしまうわけです。


人間の心理は、時として、恐ろしいほど大雑把。

でも、短い一生の中、すべてのことを客観的かつ正確に判断している時間なん
て、人間にはありません。

その中で精一杯身につけたのが、この「大雑把な判断」という能力なのかもし
れません。


◆ その攻撃に、勝つ魔法とは!?

これらの理由から、人は相手が「知らない」ときに、相手をものすごく見くび
ります。

そして同時に、「え、そんなことも知らないの?」と言われたときに、その心
理を無意識に感じているからこそ、恐ろしく強い劣等感を抱きます。


たとえば会議で、ある人の企画を落とすのは簡単です。

「きみ、その企画はいいが、我が社の予算(or規模orターゲットor何でも)に
ついては知っているのかね?」

「………し、知りません………」

「そんなことも知らないで、こんな企画を考えたのか!?」


実際はその企画とその知識については直接の関連性がなかったとしても。
これだけで「知らない」といった本人は恐ろしくシュンとしてしまいますし、
周りの人も、「確かにそうだ…」と思ってしまうものです。


また、あなたが誰かを好きになって、告白したとします。
すると相手が、こう言いました。

「あなた、私の好きな色、知ってる?」

「………え?」

「ほら、好きになったって言っても、あなたはまだ私のこと、よく知らないで
しょ?」


こう言われたら、たいていの人が、沈黙してしまうはずです。

うん。
なんだか心のキズが、キリキリと。


実際に夫婦になっている二人でも、相手の好きな色などを完全に知っているわ
けではないでしょう。

好きな色・家族構成・年齢・職業………。

そんなことを知らなくても、好きと思う気持ちには、何ら直接的な関わりはな
いはずです。

しかし、告白した方が、つい「た、確かにそういわれてみると…」と思ってし
まうのも事実です。


この「知らないの?」という言葉は、この現代において、最大級に強烈な攻撃
魔法なのです。



では、それを防御するには、どうしたらいいのでしょうか!?
そして、さらに反撃するためには!?



あなたは、愛の奇跡を知る………。


次号、「愛の無知」をお楽しみに!


(つづく)





そして、ウラ話として、ちょっと次回の先取りを。



もし相手に「知らないの?」と言われたときは、間違っても黙ってはいけません。

その場合は、とにかくすぐに「教えて教えて!」と言ってしまうこと。

人にとって、相手の知らないことを教えるというのは、何よりも強い快感です。
特にそれが常識とも言える知識なら、なおさら。
たいした知識ではないと思っている分、教えてと言われ、尊敬のまなざしで見つめられながら
話すのはとても嬉しいモノです。

人は気分が良くなれば、相手のことも、親近感をもって見てくれるもの。

これも一種の連合の法則です。


とにかく「知らないの?」という攻撃セリフ(魔法)への最大の防御のセリフ(魔法)は、
「教えて!」ということを覚えておいてください。


では、もし、そこからさらに反撃するには!?


この続きは次号をお待ちください!


そして、あー。
クイズの答えです。



ちゅーもーがおぴょんごーしゃーひひんめーきーこけこっこー●★ぶもー



この●★にハマる2文字は!?




………………。

うん。
えぇ。



ヒント。
左から順番に、鳴き声になっています。


うん。動物の。


ちゅー、は、ネズミですよね。
もー、は、ウシですよね。


うん。
あとは順番に。


十二支です。



その位置は、イヌですね。うん。


「わん」とか「がう」とかで。すみません。こんなクイズで。



ていうかこのクイズ考えながら、竜やイノシシってどう鳴くのか、とか。
ものすごく考えました。その結果、あんなことに。



イノシシはブタの親戚だそうですので、近いかな、と。

うん。ごめんなさい。
その分、「ひひん」と「こけこっこー」が特徴的なので、ご容赦くださいませ。


当たった方、おめでとうございます。
モノ投げないで。


みなさまいつも遊びに来てくださって、本当にありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

(完)