精神科医ユウの日記モーニング女医。 【バリで落ちる女医。6】
バリで落ちる女医。6 これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。 |
<前回までのあらすじ>
マヤによってバリに連れて行かれたリオ・エリ・ユウ。
彼らは果たしてどうなるのか!?
<本編>
すべての始まりは、マヤ先生の言葉でした。
マヤ「ね、最終日の明日は、バンジージャンプ、やりに行かない?」
リオ「は?」
マヤ「バンジージャンプ」
先生は、何を言っているのでしょうか。
エリ「…やっ! イヤですよ! 怖いですし…」
ユウ「そ、そうですよ。僕だって…」
リオ「………………」
マヤ「まぁ、モノは体験よ、エリ?」
ユウ「いや、でも…」
リオ「そうだな…。確かに面白そうだな…」
エリ「で、でも私、高いところ、ダメなんです」
ユウ「ぼ、僕も高いところが…」
マヤ「だったらなおさら、チャレンジしないと!」
リオ「そうそう」
ユウ「いや、僕…」
エリ「でも私、やっぱりムリです」
するとマヤ先生は、言いました。
マヤ「…お見合いパーティ酔っぱらってニギニギ事件…」
エリ「やらせていただきます」
マヤ「そう来なくっちゃ!」
何があったのかは聞けませんでしたが、雰囲気から大体の方向性はつかめました。
マヤ「よしっ! 決定ね! 最終日はバンジージャンプ!」
リオ「お、おうっ!」
エリ「はい………」
ユウ「…いや、ぼ…」
マヤ「決定ね?」
ユウ「決定です」
そんなこんなで、エリさんとリオ先生と僕は、ほぼ強制的にバンジージャンプをやることになりました。
僕には、何の発言権もないのは、いつものことです。
発言権どころか、拒否権も人権もありません。
僕はその日の夜、リオ先生に聞きました。
ユウ「…先生、賛成してましたけど、バンジージャンプが、好きなんですか?」
リオ「嫌いだ」
じゃ、なんで。 僕は心からそうツッコミながら、先生に聞きました。
ユウ「じゃあ、どうして…」
リオ「君はこの旅を、どう思う?」
ユウ「………いや、どうって………」
リオ「マヤに振り回され。強制的にここに連れてこられ」
ユウ「………」
リオ「それなのに、オイシイことは、何一つとして起こらなかった」
ユウ「………」
リオ「このままじゃ、俺はダメになってしまう!」
ユウ「………」
リオ「君はすでにダメなんだが」
うん。「俺たち」と言っていない時点で、だいたい想像つきました。
リオ「そう」
ユウ「………」
リオ「落とすためには、落ちるしかないんだ」
………先生。 意味が、分かりません。
そして、次の日です。
僕とエリさん、さらにリオ先生は、バンジージャンプの階段を上っていました。
ユウ「せ、先生はやらないんですか…?」
マヤ「私が? なんで?」
その顔は、「純粋に理解不能な質問に接した人」の表情でした。
リオ先生は、僕の肩をおさえると、静かに言いました。
リオ「分かってた。このことは分かってた。さぁ、上ろう」
ユウ「………」
エリ「………」
このバンジージャンプ台は、鉄骨でできた塔のようになっています。
鉄骨の周りにある螺旋階段をぐるぐると登り、そして頂上にある台まで向かいます。
リオ先生は、とにかく下を見ないで、上まで駆け上がっていきました。
これは確かに、下を見たら、上れません。
エリ「ま、待って…! 待ってください…。ユウさん…」
ユウ「あ、は、はい…」
エリ「お願い…。お願い…。一人に、しないで…」
これは、女性にデートで言われたりしたら、もう萌え死ぬ言葉でしょう。
しかし冗談抜きで、死を間近にしたこの状況では、そんな気持ちはほとんど湧いてきません。
ユウ「が、がんばって…。エリさん…」
エリ「は、はい…」
僕たちは、階段を一つ一つ上っていきます。
これは、死刑台の階段でしょうか。
僕たちは、自分がまったく望んでいないのにもかかわらず、自分の足で、恐怖の場所まで進んでいるのです。
はるか下では、マヤ先生が微笑みながら僕たちのことを見守っています。
そして。
僕はエリさんをつれて、ついに頂上までたどりつきました。
ユウ「………」
エリ「………」
ユウ「う………」
エリ「や………」
ユウ「うわあああああああっ!?」
エリ「いやあああああああああああっ!」
さぁっ!そこで見た、信じられない風景とは!?
次回更新を待て!
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